デジタル化が進むASEANで、中国IT企業が存在感を増している。Eコマース、デジタルインフラ整備と、その影響は多岐に及んでいる。

低い価格、豊かな資金力、品質も向上

 東南アジア諸国連合(ASEAN)では2000年代以降、社会の多様な分野でデジタル化が進んでいる。それをけん引してきたのが、米国のIT企業や地場のスタートアップに加えて、中国のIT企業である。ASEANでも米国の巨大IT企業の存在感は大きいが、中国IT企業はそれと同等か、分野によってはそれ以上の活躍ぶりをみせている。

 とりわけ中国ブランドのスマートフォンは、ASEAN社会のデジタル化を支えたといっても過言ではない。10年代に格安の中国ブランドが流入したことで、ASEANでスマートフォンが一気に普及し、その利用を前提にEコマース(電子商取引)をはじめ各種インターネット・サービスが急速に広がった。

 中国ブランドは当初は先進国ブランドに比べて品質面で見劣りしたものの、その後、価格を抑えつつ性能や機能が徐々に向上し、いまや先進国ブランドと遜色ないレベルにある。シャオミをはじめとする中国ブランドは現在も人気が高く、ASEAN内で合計7割近い市場シェアを握る(表)。

人気ECはテンセント株主

 ASEANにおけるEコマースも、中国IT企業抜きに語ることができない。EコマースにおいてASEANのほとんどの国でシンガポールの「Shopee」(ショッピー)の人気が最も高いが、同社の親会社で総合IT企業のSea(シー)は、中国出身のフォレスト・リー氏によって設立され、IT大手テンセントを大株主に持つ。

 また、多くの国で2番手の「Lazada」(ラザダ)もシンガポールが本社だが、16年に中国アリババに買収され、傘下に入っている。ラザダが最近、シェアを脅かされている「TikTok Shop」(ティックトック・ショップ)は中国のバイトダンスが…



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週刊エコノミスト

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