米国のニュース伝達、伝統的メディアからポッドキャスト司会者やAIに主導権移行

 ロイター・ジャーナリズム研究所が17日公表した年次報告書によると、米国ではニュース伝達においてジョー・ローガン氏(写真中央)のようなポッドキャストの有名司会者が果たす役割が、人工知能(AI)の自動応答プログラム(チャットボット)とともにより大きくなり、伝統的メディアの領域が一段と浸食されつつある。写真は1月、トランプ米大統領の就任式で撮影。代表撮影(2025年 ロイター)

[17日 ロイター] – ロイター・ジャーナリズム研究所が17日公表した年次報告書「デジタル・ニュース・リポート」によると、米国ではニュース伝達においてジョー・ローガン氏のようなポッドキャストの有名司会者が果たす役割が、人工知能(AI)の自動応答プログラム(チャットボット)とともにより大きくなり、伝統的メディアの領域が一段と浸食されつつある。

今年1月のトランプ大統領の就任式からの1週間では、テレビや報道機関のウェブサイト・アプリよりもソーシャルメディアや動画配信を情報源とした米国人の数が初めて多くなった。

デジタル・ニュース・リポートは、米国を含む48カ国・地域の市場で約10万人を対象に実施したオンライン調査に基づくもの。ロイター・ジャーナリズム研究所は、伝統的な米国のニュースメディアはインターネット上の番組司会者やコンテンツクリエーターに取って代わられる恐れが強まってきているとの見方を示した。

そうした傾向は特に若い米国人の間で顕著となっている。米国の35歳未満の半数余りは主な情報源としてソーシャルメディアや動画配信に依存しており、世界全体でも18-24歳までの44%が同様の姿勢だったことが分かった。

大統領就任式後1週間にローガン氏から情報を取得したと回答した米国人は全体の20%、元FOXニュース司会者のタッカー・カールソン氏のコンテンツから取得したとの回答も14%に上った。

そのほか右派ではメギン・ケリー氏やキャンデシズ・オーウェンス氏、ベン・シャピロ氏、左派ではブライアン・タイラー・コーエン氏やデービッド・パクマン氏らがニュース提供に大きな影響力を及ぼした。

ロイター・ジャーナリズム研究所の上席調査アソシエート、ニック・ニューマン氏は「これらのクリエーターは単に(視聴者の)数が多いだけでなく、伝統的メディアがなかなかつながることができない聴衆を引きつけている」と指摘した。

ただこのような個人的影響力の大きい司会者やインフルエンサーは、政治家並みに偽情報や誤情報の最大の供給者とも見なされている。

また米国人の7割強は、ネット上で流れるニュースが真実か偽りか判断する自分の能力について懸念を持ち続けていると述べた。この比率は昨年の調査と同じ。世界全体でも58%がそうした不安を抱えていた。

若者の間ではAIの存在感も高まっており、25歳未満のうち情報源をAIチャットボットに頼っていると答えた比率は15%と、全世代の7%を上回った。

世界全体ではニュース消費について文字を好むとの回答が依然として最も多かったが、約3分の1は動画、15%は音声の方が良いとしている。特に若者は動画・音声への志向がずっと強い。

ソーシャルメディアの中でXの情報源としての人気は米国で右派ユーザーや若い男性を中心に上昇している。

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Helen Coster is a U.S. Presidential Election Correspondent at Reuters, where she writes a mix of spot news, enterprise and analysis stories, with a focus on the Republican Party and conservative media. Prior to 2024 she covered the media industry for Reuters, and was also a Senior Editor on Reuters’ Commentary team. A graduate of Princeton University, she has reported from six countries, including Pakistan, India, and Greece.

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