ロシアの脅威を受け、欧州は今後4年間の国防支出を130兆円以上とする。経済活性化への期待は大きい。
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冷戦終了後、欧州は軍事産業を縮小し、その分を他の産業に振り分ける「平和の配当」を享受してきたが、今年、再軍備に向けて歴史的なかじを切った。契機は、米国が西側諸国を軍事面で十分には支えない姿勢に転換したことだ。欧州は現在、米国抜きではウクライナを十分に軍事支援できないほか、北大西洋条約機構(NATO)の欧州加盟国の国防費もようやく平均で国内総生産(GDP)比約2%に達したばかりだ(図)。特に欧州連合(EU)主要国が支出する国防費のGDP比はロシアの脅威に直面する国々や英国と比べて少ない。
米国はNATO加盟国に国防費をGDP比5%に高めるよう要求し、ロシアに近接する諸国もNATOに3.7%への引き上げを求めてきた。EUは当初2%を目標としてきたが、今年3.5%まで大きく引き上げることを決意した。更にNATOのルッテ事務総長は5月、国防費を3.5%に引き上げた上で、1.5%を安全保障関連支出に充て、国防関連費を計5%に引き上げるべきと加盟国に提案したと欧州メディアが報じた。これは米…
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週刊エコノミスト
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