任天堂の最新ゲーム機「Nintendo Switch 2」(以下、Switch 2)が、ついに発売となった。そのSwitch 2にはさまざまな特徴があるが、今回はその中から、拡張メモリーカードとして新たに採用された「microSD Express」に焦点を当てつつ、Switch 2のデータ保存環境について、実機を使って試しながら掘り下げていこう。

microSD Expressってなに?

 まずはじめに、Switch 2で採用された「microSD Express」について簡単に説明する。microSD Expressは、現在のmicroSDカードで最も高速なアクセス速度を実現する規格だ。接続インターフェースにPCIe 3.0またはPCIe 4.0、転送プロトコルにNVMe 1.3を採用することで、従来よりも大幅な高速化を実現している。

Switch 2で拡張ストレージ用として採用された、microSD Express

 接続インターフェースにPCIe、転送プロトコルにNVMeを採用するストレージといえば、PCの内蔵ストレージとして広く普及している「M.2 SSD」がおなじみだ。対応するPCIeのバージョンやレーン数によって変わってはくるが、最新のPCIe 5.0×4対応のM.2 SSDでは、転送速度が14GB/sを超える速度を実現する製品が存在するというように、とにかくアクセス速度が高速な点が大きな魅力。

SDおよびmicroSDの規格をまとめた表。SD Expressは接続インターフェースにPCIe、転送プロトコルにNVMeを採用することで高速化を実現。SD ExpressではPCIeのレーン数が最大2レーンまで対応し、より高速化できるが、microSD Expressでは1レーンまでの対応。ただしそれでも最大1970MB/sと従来のSDカードより圧倒的な高速化を実現している

 そして、microSD Expressもその点は同様。アクセス速度は、標準仕様となるPCIe 3.0が1レーンの場合でも最大985MB/sと、従来のmicroSDカードを圧倒する速度を実現。また、PCIe 4.0 1レーン対応の場合には、アクセス速度は1970MB/sに達する。

通常のmicroSDカード(左)との比較。microSD Expressカード(右)には、PCIe対応のため通常の端子の下にPCIe用の端子がある

 この高速性によって、microSD Expressにゲーム本体を保存したとしても、起動やロードが高速化され、快適にゲームをプレイできることになる。

 Switch 2は性能の向上やゲーム自体の大型化もあり、ストレージ速度がゲームプレイの快適度を大きく左右してしまう。だからこそ任天堂は、Switch 2の拡張ストレージとしてmicroSD Expressを採用したわけで、納得の選択といえる。

 なお、Switch 2が対応するmicroSD Expressの規格は非公表。上位規格のPCIe 4.0に対応している可能性もあるが、現時点で販売されているmicroSD ExpressカードはいずれもPCIe 3.0対応のため、確認はできない。ただ、もしPCIe 3.0対応であっても、その速度は最大985MB/sと申し分ない。また、将来登場する可能性のあるPCIe 4.0対応カードも、PCIe 3.0対応カード相当として利用できるので、大きな問題はないだろう。

内蔵ストレージ容量の増えたSwitch 2でも手放しで安心はできない

 任天堂はSwitch以降、積極的にダウンロード版ソフトを販売するようになった。また、ゲーム画像を静止画や動画でキャプチャーして保存することも簡単にできるようになっている。そこで重要となるのが、ダウンロード版ソフトや各種データを保存するためのストレージ容量だ。

 Switchの内蔵ストレージ容量は、標準モデルが32GB、その後登場した有機ELモデルは64GB。それに対し、初代Switchのローンチソフトである「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」は必要となるストレージ容量が13.4GB(現在は14.4GB)と10GBを大きく超えていた。当然、複数のゲームをインストールすると、あっという間に内蔵ストレージ容量が尽きてしまう。

 そこで用意されたのが、拡張ストレージとしてmicroSDカードが利用できるというものだ。Switchでは、最大2TBのmicroSDカードを装着して利用でき、そこにダウンロード版ソフトや各種データを保存できる。内蔵ストレージ容量の少なさもあって、SwitchにとってmicroSDカードは必需品と言ってもいい存在だ。

 それに対しSwitch 2では、内蔵ストレージ容量が256GBと大幅に増量されている。これによって、容量が20GBを超えるような大型のソフトも多数保存できるようになった。これ自体は非常に心強いが、実際にはそれでも心許ないのも事実だ。

Switch 2では、内蔵ストレージ容量が256GBに増量されている

 以下の表に、Switch 2の主なダウンロード版ソフトの容量をまとめてみたが、10GB超のものが17本、20GB超が11本、40GB超が5本もある。これらソフトを一気に買ってダウンロードすることはないと思うが、今後も20GB超のソフトが多くなる可能性が高い。おそらく、内蔵ストレージはSwitch 2用ソフト10本ほどでほぼ埋まってしまう可能性が高い。







スプリット・フィクション
69.2GB


サイバーパンク2077 アルティメットエディション
59.1GB


HITMAN World of Assassination – Signature Edition
58.4GB


Street Fighter 6
48.2GB


龍が如く0 誓いの場所 Director’s Cut
45.3GB


No Man’s Sky Nintendo Switch 2 Edition
24.9GB


ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド Nintendo Switch 2 Edition
24GB


ホグワーツ・レガシー
23.1GB


ソニック × シャドウ ジェネレーションズ
22.1GB


マリオカート ワールド
21.9GB


ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム Nintendo Switch 2 Edition
20GB


龍の国 ルーンファクトリー Nintendo Switch 2 Edition
17.8GB


Sid Meier’s Civilization VII Nintendo Switch 2 Edition
14.3GB


信長の野望・新生 with パワーアップキット Complete Edition
13GB


ファンタジーライフi グルグルの竜と時をぬすむ少女 Nintendo Switch 2 Edition
12.6GB


幻想水滸伝 I&II HDリマスター for Nintendo Switch 2 門の紋章戦争 / デュナン統一戦争
10.8GB


祇(くにつがみ):Path of the Goddess
10.1GB


ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー HDリマスター
9.3GB


シャインポスト Be Your アイドル!
7.5GB


Fast Fusion
3.5GB


ぷよぷよテトリス 2S
3.1GB


サバイバルキッズ
2.6GB


Nintendo Switch 2 のひみつ展
1.5GB


DELTARUNE
680MB

 しかも、Switch 2ではSwitch版のタイトルもそのほとんどが動作する。Switchを持っていてSwitch 2に買い換え、SwitchからSwitch 2にゲームを転送するとなると、当然その容量も必要となる。

 実際に、筆者が手持ちのSwitchにはゲーム本体など100GB以上のデータがあり、それをまるごとSwitch 2に転送すると、いきなり100GBほどが消費される計算だ。実際に転送してみると、Switch 2版ソフトと合わせて150GBほどを消費し、空きが100GBを切ってしまった。

 今すぐ内蔵ストレージの容量が足りなくなるほどではないが、50GBを超える容量のソフトが存在することを考えても、手放しで安心はできない。となると、Switchほど緊急性はないかもしれないが、いずれはSwitch 2でも拡張ストレージによるストレージの増強が不可欠と考えるべきだろう。

筆者手持ちのSwitchからSwitch 2にゲームをまるごと転送し、Switch 2用ゲームもインストールしたら、内蔵ストレージの空き容量が100GBを切ってしまった

 Switch 2では、冒頭で紹介したようにmicroSD Expressカードを拡張ストレージとして利用できる。容量は最大2TBまで対応。必要となる容量は、自分がどれだけゲームを保存したいかによる。とはいえ、常時10本以上のソフトをプレイすることは少ないこと、ダウンロード版ソフトは削除してもいつでも再ダウンロードできることなどを考えると、不必要に大容量の増強は不要だろう。Switch 2は登場したばかりということも合わせ、現時点では256GBの増強で十分なはずだ。

 ただし、1点注意しなければならないのは、Switch 2で拡張ストレージとして利用できるのはmicroSD Expressカードのみという点だ。

Switch 2で拡張できるのはmicroSD Expressカードのみなので要注意

 microSD Express自体は従来のmicroSDカードとの互換性が確保されている。例えば、microSD Expressカードを従来のmicroSDカードスロットに装着しても、速度こそ従来のmicroSDカード同等となるが、データを書き込んだり、保存されたデータを読み出したりできる。逆もしかりで、microSD Expressカードスロットに従来のmicroSDカードを装着しても、データの読み書きが可能だ。

 しかしSwitch 2では、microSD Expressカードスロットに従来のmicroSDカードを装着しても、Switchで保存した静止画や動画のキャプチャーデータだけは読み出せるものの、Switch 2の拡張ストレージとしては利用できないという制限をかけている。つまり、Switch 2のストレージを拡張するには、必ずmicroSD Expressカードを利用する必要があるわけだ。これは、拡張ストレージ側にソフトを保存した場合でも快適にプレイできるアクセス速度を確保するためだが、この点はしっかり頭に入れておいてもらいたい。

試しにSwitch 2に通常のmicroSDカードを装着してみても、このようなメッセージが表示され利用できない

Write A Comment