6日の米国株は反発。S&P500種株価指数は2月以来の高値で引けた。米雇用統計を受けて、近く景気が減速するとの懸念が和らいだ。午後にトランプ米大統領が次回の米中通商協議が9日に行われると明らかにし、緊張緩和への期待が広がったことも株価を押し上げた。

株式終値前営業日比変化率S&P500種株価指数6000.3661.061.03%ダウ工業株30種平均42762.87443.131.05%ナスダック総合指数19529.95231.501.20%

  S&P500種は6000台に再び乗せた。景気に敏感な業種がアウトパフォーム。大型株では前日急落したテスラが上げを主導した。短期金融市場では、米連邦公開市場委員会(FOMC)が年内に2回利下げするとの見方が後退した。

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雇用統計を受けて株式相場は上昇

Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

  5月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びが減速し、その前の2カ月のデータは下方修正された。ただ5月の雇用者数の伸びは市場予想をやや上回り、今週の軟調な指標を受けて雇用に対する警戒感を強めていた強気筋のセンチメントを押し上げた。

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  eToro(イートロ)のブレット・ケンウェル氏は、「労働市場は絶好調というわけではないかもしれないが、深刻な悪化の兆しは全く見られない」と指摘。その上で、「今回の堅調な雇用統計により金融当局はさらに時間稼ぎが可能になるが、インフレ率の低下が続けば、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は景気抑制的な金利政策を正当化しづらくなるかもしれない」と述べた。

  雇用統計の発表後、トランプ大統領はパウエル議長に対して再び利下げを要求し、1ポイントの引き下げに踏み切るよう促した。

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  企業が関税に伴うコスト増や経済活動の減速見通しに直面する中、今回の雇用者数のデータは、労働需要の急激な悪化に対する懸念を和らげる一助となった。

  ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズのアダム・ヘッツ氏は「堅調な雇用統計は、景気が『ゆっくりと減速している』という見方を裏付けている」と指摘。「この日のニュースはポジティブだが、関税を巡る不確実性が続いており、見通しが明確になるには夏の間に発表されるハードデータが極めて重要だ」と述べた。

  実際FOMC当局者は、トランプ政権の政策が経済に与える影響を巡りさらなる情報を待っており、政策金利に関して様子見のアプローチを取るとのシグナルを発している。

  プリンシパル・アセット・マネジメントのシーマ・シャー氏は「FOMCにとって利下げの緊急性は低い」と指摘。「貿易を巡る霧が晴れるまで金利を維持することは、政策ミスのリスクを軽減する。最初の利下げは2025年終盤に実施されると予想する」と述べた。

  ノースライト・アセット・マネジメントのクリス・ザッカレリ氏は「FOMCは利下げに慎重であるべきだ。関税の影響がインフレ指標にまだ完全には反映されておらず、雇用市場も利下げを強いられるほど悪化していないからだ」と指摘。こうした背景を踏まえると、依然として慎重姿勢が求められる。バリュエーションは高く、関税リスクの多くが解消されておらず、経済は減速の兆しを見せているからだと付け加えた。

米国債

  米利下げ観測が後退する中で国債相場は全年限で大きく下落し、2年債利回りは4%を超えた。

国債直近値前営業日比(bp)変化率米30年債利回り4.96%8.61.76%米10年債利回り4.50%11.32.57%米2年債利回り4.03%11.42.92%  米東部時間16時37分

  金利スワップ市場では、9月までに0.25ポイントの利下げが実施される確率を約70%とみている。5日時点では約90%だった。年内の利下げ回数については、2回が完全に織り込まれなくなった。

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為替

  外国為替市場ではドルが上昇。雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を上回ったことに反応した。一方、リスク選好が幅広く回復する中で円は下落し、対ドルで一時1%余りの下げとなった。

為替直近値前営業日比変化率ブルームバーグ・ドル指数1211.403.140.26%ドル/円¥144.83¥1.300.91%ユーロ/ドル$1.1395-$0.0050-0.44%  米東部時間16時37分

  ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)のエリアス・ハダッド氏は「9月の米利下げは確定というわけではないかもしれない」と分析。「ドルは短期的には下支えされる可能性があるが、基本的な下落基調は変わっていない」と述べた。

Dollar Gauge Reaches Day's High After May Jobs Report | Headline payrolls beat boosts US currency versus G-10 peers

 

 

  米雇用統計を受けたリスク選好の回復と米国株の上昇が円には重しとなった。対ドルで一時1.1%安の1ドル=145円09銭と、約1週間ぶりの安値を付けた。その後も144円台後半で推移した。

ドル・円相場の推移

 

 

原油・金

  ニューヨーク原油先物相場は続伸。米雇用統計が予想より強かったことを背景に、景気減速で需要が低迷するとの懸念が和らいだ。アルゴリズム取引によるショートカバーも入った。

  雇用者数の伸びが小幅ながらエコノミスト予想を上回り、短期的な需要悪化を巡る懸念の緩和につながった。景気に敏感なディーゼル先物は2週間ぶり高値を付けた。

  CIBCプライベート・ウェルス・グループのレベッカ・バビン氏は「きょうの取引は比較的静かで、マクロ経済要因が引き続き大きな材料になっている」と指摘。「雇用統計は、関税を巡る不透明感で需要が急減するとの懸念を和らげている」と述べた。

Crude Rises on Strong US Jobs Data | WTI follows equities to settle below $65

 

 

  好調な経済指標を受けて商品投資顧問業者(CTA)が弱気姿勢を後退させ、これが相場の勢いを加速させた可能性がある。ブリッジトン・リサーチ・グループのデータによると、CTAはウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)のショートポジションを6日に大きく解消した。

  世界屈指の原油輸入国である米中の貿易協議に楽観的な兆しが見られ、リスクオンのセンチメントが広がっていることにも原油は支えられている。トランプ米大統領はこの日、米中の通商交渉団がロンドンで9日に協議を再開すると明らかにした。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物7月限は、前日比1.21ドル(1.9%)高い1バレル=64.58ドルで終了。週間ベースでは昨年11月以来の大幅高を記録した。ロンドンICEの北海ブレント8月限は1.13ドル(1.7%)上昇し、66.47ドルで引けた。

  金相場は続落。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物8月限は28.50ドル(0.8%)安の1オンス=3346.60ドルで取引を終えた。金スポット相場はニューヨーク時間午後3時2分現在、1%安の3318.70ドル。

原題:Stocks Hit Highest Since February on Jobs Surprise: Markets Wrap(抜粋)

Treasuries Slide After Jobs Report Led by Front End, End on Lows

Dollar Gains on Strong Jobs Data; Yen Underperforms: Inside G-10

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