米中両国が5月に相互の関税率を一定期間引き下げることなどで合意した際、市場は歓迎したが、それからわずか数週間でほころびが生じている。米国は中国がレアアース(希土類)に関する約束を守っていないと非難。一方の中国は米国による新たな制限措置を合意違反だとして応酬している。

レアアース巡る対立の背景

  中国商務省は4月4日、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウムの7種類のレアアースについて、輸出前の許可申請を義務づけると発表した。

  これらレアアースを含む製品も対象で、電動モーターやハードディスクドライブに使われるNd-Fe-B磁石も含まれる。

  トランプ大統領による関税措置への他の対抗策と同時に発動されたが、全ての国へのレアアース輸出に適用された。

  その後も報復の応酬が続き、中国は米企業12社を輸出管理リストに加え、6社を「信頼できない事業体」のリストに追加した。

ジュネーブ合意で中国は何を約束したか

  5月にスイス・ジュネーブで行われた米中貿易協議で、中国側は関税引き下げと米企業に対する非関税措置の一時停止に同意した。

  合意を受けて、中国は米国企業28社に対するレアアースなどの輸出禁止措置を解除し、「信頼できない事業体」のリストへの17社の掲載も90日間停止した。

  これにより、中国企業はこれら米企業45社への輸出許可の申請が可能になったが、中国商務省からの許可が実際に下りるかどうかは声明文では分からなかった。

  中国は7種類のレアアースの輸出ライセンス義務について、撤回するとは公に約束していない。5月には、レアアースを含む重要鉱物の密輸を取り締まるキャンペーンを国内で開始し、全ての関連輸出がライセンスと管理体制の下で行われるようにしている。

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輸出ライセンスの仕組み

  米中ビジネス協議会の最近の報告によれば、中国の輸出管理制度は米国と類似していて輸出ごとに許可が必要。エンドユーザーの証明書などの提出も求められる。

  商務省のガイドラインでは軍事転用が可能なレアアースの許可申請の審査には、変動はあるものの45営業日かかるとされている。

米国は中国が合意に違反と非難

  米国は中国がジュネーブでの合意を守らず、レアアースなど重要鉱物の供給を引き続き「絞っている」と非難している。

  トランプ氏は先週、中国がジュネーブ合意に違反していると主張。グリア米通商代表部(USTR)代表は「これらの重要鉱物の一部について、本来あるべき流通が確認されていない」とCNBCとのインタビューで指摘した。

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  一方で、米国やその他の国の一部企業からは、すでに許可を取得し始めているという声もある。あるアジアの主要輸入国の企業は先週から許可を受け始めていると、同国の当局者が匿名を条件に明らかにした。

  米政府当局者は、ジュネーブでの協議に基づき、中国からのレアアース輸出が直ちに再開されると期待していたが、実際にはそうならず、米企業もこの展開に驚いている。

  在中国米国商工会議所のマイケル・ハート代表は「業界が望んでいるスピードよりは遅いが、いくつかの承認が下りている」と指摘。「一部の遅れは、中国が輸出承認の新しい仕組みに対応しているためで、輸出を許可していないというわけではない」としている。

原題:The Rare-Earth Fight Imperiling US-China Trade Peace, Explained(抜粋)

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