メンバーが大幅シャッフルとなった日本代表にとって、W杯アジア最終予選ラスト2連戦は“消化試合”ではない。5日の敵地オーストラリア戦(日本時間20時10分キックオフ)に向けての予想スタメン、パリ世代の鈴木唯人、藤田譲瑠チマ、そして久保建英が語った意思とは。〈NumberWeb現地レポート/全2回。第1回からつづく〉
オーストラリア戦に挑む日本代表のメンバーの最大勢力はパリ五輪世代だ。久保建英を筆頭に、計13人もいる。27人の招集メンバーのうちのおよそ半分だ。
そのなかでギラギラしている選手の筆頭が鈴木唯人だろう。
“16億円ドイツ移籍”鈴木唯人がフォーカスしたこと
この世代の代表チームで10番を背負うことの多かった彼は、もっとも期待を集めている選手とも言える。
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「チャンスはいずれ来ると思っていました。メンバーが代われど、しっかり、良い印象を残せれば、今後につながっていくと思います。自分はこれまで、結果を残そうと、ずっと自分自身にフォーカスしていました」
そんな言葉通り、今シーズンのデンマークリーグではリーグで7位タイとなる12ゴールを記録した。ただ、それ以上に特筆すべきは決定機に絡んだ回数。以下の2つの成績が傑出していた。
・ペナルティーエリア内でのボールタッチ数:リーグ2位
・決定機を作った回数:リーグ3位
鈴木本人はこう分析する。
「チームの中で求められる役割がフリーマンという感じで、『自分で全てチャンスを作ってやってくれ』みたいな感じだったので」
鈴木自身は、5大リーグへの移籍が「1年遅くなってしまった」と振り返るが――すでに新シーズンからドイツのフライブルクへの移籍が決まっている。しかも、クラブ史上最高額タイの1000万ユーロ(約16億3000万円)の移籍金が支払われたという。
プレー強度と守備の進化を示す数字とは
昨年6月以降は日本代表から声がかからないままデンマークで戦ってきたが、代表のピッチに立つことも、5大リーグへの移籍も、常にイメージしていた。例えば、昨年10月に埼玉スタジアムで行なわれたオーストラリア戦のメンバーには入っていなかったが、試合映像はしっかり見ていた。自分が呼ばれていない試合は見ないという選手も多いなかで、そんな姿勢は代表への想いを感じさせる。そして、自身の成長のために、こんなことを考えていたと語る。
「今シーズンは結果と言うよりも、自分の成長のために色々なところに目を向けてやっていました。プレーの強度と守備は非常に意識して、この1年取り組んでいた感じです」
その言葉に偽りはない。彼が守備でも手を抜かなかった形跡は確かな数字となって表れている。