GREAT SKY ARTプロフィール
GREAT SKY ARTは、北海道札幌市を拠点に全国各地で花火大会の企画制作、運営、演出をプロデュースしているHANABIコレクティブ。特に彼らが企画開催しているイベント「芸術花火」は今や日本全国の花火イベントの中でも、屈指の注目度を誇る。約60分のパフォーマンス時間の中で、性別や世代を問わず愛される名曲たち=「音楽」のリズムや曲調に合わせ、総理大臣賞受賞の日本屈指の花火師たちが作り上げた花火を、花火コレオグラファーが1/30秒単位でコントロールした演出をプログラミングし、打ち上げる。緻密かつ大迫力のエンターテインメント花火ショーとして人気を博している。

日本各地で「芸術花火」をプロデュースし、観客の心を揺さぶるエンターテインメントを届けてきたGREAT SKY ART。花火を「魅せる人」として集ったこのHANABIコレクティブが、ついに世界最高峰の舞台・モントリオール国際花火競技大会への出場を果たす。日本中の名匠たちが生み出した花火玉を束ね、音楽とシンクロした緻密な演出で「日本の美意識」を世界に届ける今回の挑戦について話を聞いた。

ー世界のトップ花火師たちが集うモントリオール国際花火競技大会。その舞台に日本代表として挑むことが決まった瞬間、どんな想いがこみ上げましたか?
また、この世界最高峰の舞台に向けて、演出テーマや構成で最もこだわる点も教えてください。

正直、信じられないという気持ちが最初に湧きました。日本中の仲間たちと歩んできたこの道が、ついに世界の舞台に繋がったのだと実感した瞬間、胸が熱くなりました。

演出では「日本人の美意識と情緒」を核に据え、約30分間にわたって「間」と「余韻」を大切にした構成を心がけています。音楽と花火の一体感、そこに流れる「詩のような空気」を世界に届けたいと思っています。

ー今回の出場は、花火製造会社単体ではなく、全国から名匠たちの花火玉を集め、演出を統合する「プロデュースチーム」として挑むスタイルが特筆すべき点だと伺いました。このGREAT SKY ARTならではの挑戦が持つ意義、そして日本の花火文化全体としての挑戦でもある点について、どのように捉えていますか?▲イベントを支えるボランティアスタッフ

私たちは、花火を「作る人」ではなく「魅せる人」として集まりました。全国の花火師たちが作った匠の花火玉を、まるで異なる画風の絵筆を束ねて一枚の作品を描くように統合していく。その姿勢こそ、日本の花火文化の可能性の広がりを示すものだと感じています。製造だけではない「演出」の力で、世界に挑む。それがGREAT SKY ARTの使命です。

ー日本の花火には「間」や「静」といった日本独自の美意識が感じられます。海外の観客にこうした繊細な表現を伝えるうえで、どのような工夫やアプローチを意識していますか?

私たちは音楽と花火の「間」を通して、観客に「感じてもらう」演出を目指しています。言葉を使わずに心を動かすために、選曲にもこだわり、国や世代を超えて心に響くメロディーに日本的情緒を重ねています。

ー海外では迫力ある連発型の演出が好まれる傾向もある中で、日本的な表現美とのバランスをどのように心がけていますか?また、GREAT SKY ARTとして、世界に届けたい「日本の感性」とはどんなものでしょう?

確かに、海外ではスピード感や迫力を重視する傾向があります。ですが、私たちはあえて「静けさ」や「余白」を挟むことで、ダイナミックなシーンがより際立つよう構成しています。

届けたいのは、ただ派手な演出ではなく「情緒の波」。日本ならではの侘び寂び「間」と「美」のリズムが、国境を越えて心に届くと信じています。

ー「花火を芸術として届ける」という哲学は、GREAT SKY ARTの核にあるように感じます。その想いがどのように形づくられてきたのか、そして『芸術花火』が全国で高く評価されている理由についてもお聞かせください。▲イベントを支えるボランティアスタッフ

花火は単なる娯楽ではなく、人の心を震わせる「芸術」だと私たちは考えています。だからこそ、音楽とシンクロし、ストーリーを語るような花火を届けてきました。

全国で高い評価をいただいている理由は、その一発一発に「物語」があるからだと思います。観客は花火を見て、何かを感じ、時に涙を流す。そこに私たちの哲学が宿っています。

ーGREAT SKY ARTというHANABIコレクティブの成り立ちについて教えてください。なぜ札幌を拠点に、どのような想いでスタートされたのでしょうか?

私たちは、2012年に北海道・札幌で活動を始めました。当時、全国的に花火大会が減少する中で、「花火文化を未来に残したい」という想いがきっかけでした。

札幌という大自然と都市が共存する地で、アートとしての花火の可能性に挑戦し続けてきたことが、今の「芸術花火」に繋がっています。

ーこれまで日本各地で花火大会を手がけてこられた中で、特に印象に残っている瞬間やプロジェクトがあれば教えてください。

やはり茅ヶ崎で開催している「茅ヶ崎サザン芸術花火」は特別です。サザンオールスターズの音楽と花火が完全にシンクロしたときの一体感。その瞬間、会場全体が感動に包まれる空気には、何度経験しても鳥肌が立ちます。地域に根差した音楽と結びつくことで、花火がその土地の「文化」になった瞬間でした。

ー「作品としての花火」という意識は日本特有のものでしょうか?GREAT SKY ARTが目指す「花火の芸術性」は、海外の観客にも通じると感じていますか?

「火の作品=Fireworks」という言葉通り、花火はまさに「作品」です。そして、日本の花火は、ただ空を照らすだけでなく「心を照らす」ものであることが大きな違いだと感じます。
その繊細な感性は、世界のどこでも響く力を持っている。私たちはその普遍性を信じています。

ー今回の出場にあたっては、クラウドファンディングも行っていると伺いました。「みんなでつくる花火大会」を掲げてきたGREAT SKY ARTにとって、このプロジェクトはどのような意味を持ち、どのような「共創」の形を描こうとしているのでしょうか?

今回の挑戦は、単にGREAT SKY ARTの挑戦ではなく、これまで全国で一緒に花火を作ってきた仲間たち、そして観てくれた皆さんと一緒に創る「日本代表」の挑戦です。

だからこそ、クラウドファンディングという形で「共創」の輪を広げたい。資金を集めること以上に、「応援」という形で一緒に世界に想いを届けてほしい。それが私たちの願いです。

ーモントリオールの空に、日本の花火を最高のかたちで届けるために、これまで支えてくださった地域の皆さんや全国の花火ファン、そして読者でもあるカナダ在住の日本人の方々に向けて、あらためて伝えたいメッセージや呼びかけがあればお願いします。

ここまで支えてくださったすべての方に、心から感謝しています。今回の挑戦は、皆さんの力がなければ絶対に叶いませんでした。

そして、カナダ在住の皆さん、日本の「美」と「魂」を背負って、私たちは空に花を咲かせます。現地で、あるいは遠くからでも、その夜空に気持ちを重ねてくださると嬉しいです。一緒に、世界一を目指しましょう。

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