6月2日、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟のロシアなどで構成する「OPECプラス」の有志8カ国は5月31日、7月の原油生産量を日量41万1000バレル超増やすことで合意した。写真はOPECのロゴ。2024年5月、ウィーンで撮影(2025年 ロイター/Leonhard Foeger)
[ロンドン 2日 ロイター] – 石油輸出国機構(OPEC)と非加盟のロシアなどで構成する「OPECプラス」の有志8カ国は5月31日、7月の原油生産量を日量41万1000バレル超増やすことで合意した。これは5、6両月と同規模の増産幅となった。背景には増産の加速を主張する盟主サウジアラビアと、増産の一時停止を要求したロシアの攻防があり、難航の末に妥協点を見いだしたという事情があった。
OPECプラスで二大勢力となっている両国は、かつての数年にわたる円滑な協力関係に緊張が走っている。
6月2日の原油価格は前週末比3%上昇の1バレル=65ドル超となり、7月の増産が5、6両月と同規模に据え置いたことで買い安心感が広がった。
OPECプラスは原油市場を下支えするために5年前から実施している自主的な減産を解除しようとしている。しかし、31日の決定はより複雑だったと、交渉に詳しい4人が明らかにした。
ロシアとオマーン、アルジェリアは増産分を消費できるほど需要が強くない可能性があるとし、増産の一時停止を主張したため、増産幅を日量41万1000バレルにとどめることで妥協した。
Output hikes to unwind 2.2 million barrels per day output cuts
サウジアラビアのエネルギー省、ロシアのノバク副首相の事務所、OPECはいずれもコメントの要請に応じなかった。
OPECプラスは31日の声明で、増産の理由として石油市場の健全性と少ない石油在庫を挙げた。
OPECプラスは、今年に入ってから日量で計137万バレルの増産で合意している。
ロイターの試算によると、OPECプラスは市場を下支えするため、過去5年間に世界需要の約4.5%に相当する日量450バレル弱の減産を維持している。
一部の減産は22年までさかのぼった生産水準に基づいて合意されていた。一部の生産者は能力が失われ、近年の投資不足によって迅速な増産ができない可能性がある。
その中でサウジアラビアはOPEC加盟国の中で余剰生産能力が最大となっており、増産に迅速に対応して市場シェアを拡大することができる。
これに対し、ロシアは投資の減少が響いて余剰生産能力が縮小している。また、ウクライナ侵攻に対する欧米諸国からの制裁を受け、石油精製業者に余剰分を迅速に販売することでも苦労している。
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