スペインのサンタンデール銀行は、デジタル資産の業務拡大を検討している。デジタル銀行のリテール顧客にステーブルコインや、暗号資産(仮想通貨)へのアクセスを提供する計画もあり、欧州他行に続き同セクターへの関与を深める。

  非公表の協議内容だとして匿名を要請した関係者によると、ステーブルコインの計画はまだ初期段階だ。オンラインバンキング部門のオープンバンクは、欧州連合(EU)の新規制に基づき、個人向けに暗号資産サービスを提供する免許の申請を行ったと、関係者の1人が明らかにした。

  EUでは昨年末に「暗号資産市場規則(MiCA)」が全面的に施行。それから数カ月がたち、欧州各行はデジタル資産に熱心になり始めた。同業界をトランプ大統領が表立って支持する米国でも状況は同じで、ステーブルコインの法整備が進展して大手金融機関も関心を示すようになった。

  サンタンデールの代表はコメントを控えた。

  ステーブルコインはドルなど法定通貨に対し価値が一定となるよう設計されているものが一般的で、決済の代替手段になり得るとして銀行が強い関心を寄せている。ステーブルコイン市場は2500億ドル(約36兆円)規模に膨らみ、最大の発行元であるテザー・ホールディングスは裏付け資産として保有する米国債の利回りから毎四半期に数十億ドルの利益を稼いでいる。

  関係者によると、サンタンデールはユーロ建ておよびドル建てのステーブルコインの提供を検討している。同行が大きな顧客基盤を抱え、現地通貨の弱い中南米諸国などでは、ドル建てのステーブルコインが人気化している。独自のステーブルコインを創設するのか、既存のトークンへのアクセスを提供するのかなど、サンタンデールは選択肢を吟味しているという。

  米大手銀の数行は、ステーブルコインの共同発行で協力することを協議していると、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は先週報道。スペイン国内でサンタンデールと競合するバンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア(BBVA)は3月、規制当局の承認を受けてリテール向けの暗号資産サービス提供を開始すると発表した。

  このほか、フランスのソシエテ・ジェネラルは暗号資産子会社がユーロ建てのステーブルコインを発行。ドイツ銀行の資産運用部門DWSグループ、オランダのマーケットメーカー、フロー・トレーダーズ、暗号資産投資会社ギャラクシー・デジタル・ホールディングスは、ユーロ建てステーブルコインを発行する合弁会社を立ち上げた。

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原題:Santander Weighs Crypto Push With Early-Stage Stablecoin Plans(抜粋)

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