中国が5月に入り、台湾や日本列島南部の近海に当たる東シナ海と南シナ海で、海軍や沿岸警備隊の艦船など通常を上回る大規模な艦隊を展開していることが、安全保障当局者3人とロイターが確認した軍事活動に関する文書で分かった。写真は3月、イラン・オマーン湾で行われたイラン、中国、ロシアの合同海軍演習に参加する中国海軍(2025年 ロイター/Iranian Army/WANA (West Asia News Agency)/Handout via REUTERS)
[28日 ロイター] – 中国が5月に入り、台湾や日本列島南部の近海に当たる東シナ海と南シナ海で、海軍や沿岸警備隊の艦船など通常を上回る大規模な艦隊を展開していることが、安全保障当局者3人とロイターが確認した軍事活動に関する文書で分かった。
中国の軍事活動の活発化は、5月に台湾の頼清徳総統が就任1年を迎えた中で行われた。
21日には60隻近く、27日には70隻以上の艦船を展開。誘導ミサイルフリゲート艦、駆逐艦のほか、2隻の空母も派遣した。空母の「山東」は南シナ海、「遼寧」は台湾の南東沖をそれぞれ航行している。
安全保障当局者の1人は、世界的な地政学的な不確実性の中で、日本から台湾、フィリピン、ボルネオ島に至る「第1列島線」沿いに、中国が圧力をかけていると指摘。「遼寧」による演習では、東シナ海と黄海周辺で外国の船舶や航空機を攻撃するシミュレーションが行われ、「優位性を強めようとしている」とも指摘した。
別の関係者は、中国海軍のプレゼンスが5月に「明らかに」強化されたとし、「中国は明確に、これらが自国の海域で、いつでもどこでも思いのままに活動できることを示そうとしている」との見方を示した。
中国国防省はコメント要請に応じなかった。
中国は頼氏を「分離主義者」とし、就任以来、大規模な軍事演習を3回実施している。一方、台湾当局は28日、「遼寧」が台湾の南東沖にいると明らかにし、脅威レベルに応じて戦闘態勢を強化する構えを示した。
日本は、「遼寧」と随伴する中国の艦艇が日本列島南部を通過し、西太平洋に至る航行を追跡した。林芳正官房長官は、中国は自国の沿岸から離れた場所での作戦能力の向上を図っているとの見方を示した上で「日本政府は動向を注視し、監視活動に全力を尽くす」と説明した。
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