(CNN) オーストラリアでこのほど、3億5600万年前にさかのぼる動物の足跡化石が見つかった。爬虫(はちゅう)類の祖先が、従来の説より3500万~4000万年早く出現したことを示している。
脊椎(せきつい)動物のうち爬虫類や鳥類、哺乳類を含む「有羊膜類」の起源はこれまで考えられていたより早かったことが分かり、動物が海から陸上へ進出した過程に関する新たな証拠が示された。
有羊膜類は、陸上で繁殖できるように適応した脊椎動物だ。これまでに、最古とされる3億1800万年前の化石と足跡がカナダで見つかっていた。
しかしスウェーデン・ウプサラ大学の生物学者、ペール・エリック・アルベリ教授らが英科学誌ネイチャーに発表した研究によると、四肢動物が水中から陸に上がった移行は、従来考えられていたよりずっと速いペースで起きたことが、新たな化石からうかがえる。
アルベリ氏は「大変な驚きだ」「ひとりでも持ち上げられるような一片の岩板が、四肢動物の進化について分かっていると思われたすべてのことに疑問を投げ掛けている」と述べた。
オーストラリアはかつて、現在のアフリカ、南米、インド、南極などが集まった巨大な「ゴンドワナ大陸」の中心にあった。研究チームは、ここに有羊膜類や爬虫類の起源があったのではないかとの見方を示している。
現代に生息しているイグアナなどさまざまな生き物と足跡を比較した/Traci Klarenbeek
進化史を塗り替える発見
岩板は、アマチュア考古学者で論文の共著者でもあるクレイグ・ユーリー、ジョン・イーソン両氏が、オーストラリア南東部ビクトリア州マンスフィールドのスノーウィプレーンズ層で見つけた。同じ動物が残した2組の足跡とみられ、爪がある足跡の化石としてはこれまで発見されたなかで最も古い。
足の形は、南アジアや東南アジアに分布する現生のミズオオトカゲに近い。正確な体の大きさは定かでないが、豪フリンダース大学の古生物学者で論文の筆頭著者のジョン・ロング教授によれば、体長80センチ前後のゴアンナ(オーストラリア原産のオオトカゲ)に似た動物だったと考えられる。
爬虫類特有のかぎ爪で穴を掘ったり、木に登ったりしていた可能性がある。
足跡を残した動物は現在知られているなかで最古の爬虫類、最古の有羊膜類だと、アルベリ氏は指摘した。
ロング氏によれば、「現在の両生類につながる系統と爬虫類や鳥類、哺乳類につながる系統は、従来考えられていたよりずっと早く、約3億8000万年前に枝分かれしたことが推測される」という。