米政府は、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収を承認する条件として、USスチールの「黄金株」を取得する見通しだ。

  黄金株は企業の特定の意思決定に対して政府に事実上の拒否権を与えるもので、事情に詳しい関係者によれば、米当局と両社との間で進められている協議の一環だ。 

  拒否権の範囲や、日鉄による141億ドル(約2兆400億円)のUSスチール買収に関してトランプ政権が最終的にどう判断したかは依然として不明。関係者2人によると、対米外国投資委員会(CFIUS)およびトランプ大統領に提出された取引案には、1株55ドルでの買収と140億ドルの追加投資が含まれていた。

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ペンシルベニア州のUSスチール製鉄所

Source: Justin Merriman/Bloomberg

  米政府への黄金株譲渡については、日本経済新聞などが先に報じていた。黄金株の権限は国家安全保障の取り決めに盛り込まれる見通しで、これは通常、CFIUSによる条件付きの承認を反映する形で策定されることが多いと、一部の関係者が匿名を条件に明らかにした。権限が株式持ち分に相当するのか、それとも単なる介入権限にとどまるかも分かっていない。

  トランプ大統領は30日、ピッツバーグで集会を開き、USスチールの案件を自身の関税政策および米労働者の勝利としてアピールしたい考え。ただ、全ての当事者の間で依然として詰めの作業が行われているという。現行の買収案に対する確固たる承認が得られない限り、両社がトランプ氏と並んで登壇することはないと関係者の1人は話した。

  ペンシルベニア州選出でトランプ氏とも近い共和党のマコーミック上院議員は27日、CNBCとのインタビューで詳細の一部を確認。この枠組みを実質的に成立済みの合意として位置づけた。一方、ホワイトハウスは現時点でCFIUSを通じた買収承認について明言を避けている。

  「支配の枠組みはやや独特なものになるだろう」とマコーミック氏は指摘。「最高経営責任者(CEO)は米国人で、取締役会の過半数も米国人が占め、さらに黄金株が設定される。これは実質的に取締役メンバーの一部について米政府の承認を義務付けるもので、そのため米国は生産レベルの低下などを確実に防ぐことができる」と話した。 

原題:US Set to Receive Golden Share as Part of US Steel-Nippon Deal(抜粋)

(第3段落以降に詳細を追加して更新します)

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