フォーリンラブのバービーさんが芸人として、ひとりの女性として、モヤモヤしたことや疑問に思ったことなどと向き合い、自らの言葉で本音を綴っているFRaUweb連載「 本音の置き場所 」(毎月1回更新)。今回は、2016年からバービーさんが取り組んでいる地元・北海道夕張郡栗山町の町おこしについて。過去のインタビューで地方創生を夢見た理由を聞かれた際、「地元の人は観光資源もないんだから来たって面白くないよって言うんですけど、“この何もないのが宝”なんだと思います」と語っていたバービーさん。現在は取り組みのひとつとして、家族や地元の人とやりとりをしながら古民家をDIYで改装中ですが、その町おこしの原点ともいえる古民家の購入当時のことを振り返ります。
バービー連載10回までが1冊になった初のエッセイ集『 本音の置き場所 』は こちら
20代後半でバービーがもがきまくっていた頃
先日、ラジオのリスナーさんからクォーターライフクライシス(Quarter-Life Crisis)』という言葉を教えてもらった。
20代後半から30代前半の若年層が抱える、将来やアイデンティティに関する不安、焦燥感を表す言葉で、人生の4分の1地点での迷い、というニュアンスらしい。
はいはい、ちょっと前の時代でいう「28歳ぐらいで急にネイリストの資格取り出すあれね」と、一瞬で腹落ちした。ひと言で言えるなんてもっと早く知りたかった。
ご多分に漏れず私もこの頃は、大人の家庭教師トライを受講したり、宣伝会議のコピーライター養成講座に申し込んだり(30講義中、2回しか出ていない)、ガーデンデザインやハーブ&スパイスコンサルタント、チベット体操インストラクターの資格を取るなどした。
とにかく、もがきにもがきまくっていた時代だった。テレビの中でも1番破茶滅茶していた頃、やればやるほど自分ってこんな人間だったっけ?と現在地がわからなくなっていった。
写真提供/バービー
「自分はなんて実のない人間なんだろう。空っぽだ」
ありがたいことに周りの人たちのおかげでお仕事に恵まれていた。だけど、「テレビでよく見てます」とキラキラした目で声を掛けてもらう度に、私はそんな特別な人間じゃないのに……とさらに卑屈になっていった。
ひとりでインドに行き、ガンジス川で沐浴したけど、実体のある自分なんて見つからなかった。仕事にもどこか「私じゃなくてもいいのかも」という感覚がつきまとっていた。震災のとき、何もできなかった無力感も引きずっていた気がする。
写真提供/バービー

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