エコノミストを対象としたロイター調査によると、インドは1─3月期の国内総生産(GDP)成長率が前期から加速したとみられる。写真は、屋外の市場。2023年8月、アフマダーバードで撮影(2025年 ロイター/Amit Dave)
[ベンガルール 23日 ロイター] – エコノミストを対象としたロイター調査によると、インドは1─3月期の国内総生産(GDP)成長率が前期から加速したとみられる。都市部は消費が引き続き低調だった判明、農村部は農業生産の改善で消費が堅調だったことなどが一因。
調査は19─23日に56人を対象に実施。1─3月期GDPの前年同期比成長率の中央値は6.7%で、前期実績の6.2%を上回った。予想範囲は5.8%から7.5%。
IDFCファースト・バンクのチーフエコノミスト、ガウラ・センガプタ氏は「実質的な成長の勢いを見ると、作物の生産が改善されたことにより農村部で回復の兆しがいくらか見られ、こうした動きを受けてインフレ圧力が緩和した」と述べた。
シティのエコノミストチームは「底堅い(農業)活動が農村部の消費に引き続き好影響を与えている。今会計年度の前半について都市部の消費には慎重な見方を変えておらず、景気刺激策による回復を予想している」と説明した。
インド準備銀行(中央銀行、RBI)は6月の会合で3回連続となる利下げを決める見通し。
しかしスタンダード・チャータード銀行のインド経済調査責任者、アヌブティ・サハイ氏は、成長の改善は主に、同四半期中に補助金の支出が大幅に減少し、間接税(消費税に相当)が差し引きで経済にプラスの影響を与えたことが要因との見方を示した。
間接税と補助金を除いた、より安定した成長指標とされる粗付加価値(GVA)は1─3月期に前年同期比6.4%増加し、前期の6.2%からわずかに改善した。内需が十分な強さを持たない限り、GDP成長は政府支出への依存が続きそうだ。
ソシエテ・ジェネラルのインド担当エコノミスト、クナル・クンドゥ氏は「回復は実際の活動の改善というよりも、数値の上でのことにすぎないかもしれない。投資の見通しは依然として弱く、製造業の低迷がそれに拍車をかけており、成長の本格的な回復は数四半期先になりそうだ」と分析。「農村部は需要に改善の兆しがあるが、実質賃金はまだ有意な上昇の兆候を見せていない。農村部の需要は弱い状態からわずかに改善しているだけで、単独で成長の主要な牽引役になれるほど強くはない。一方、都市部の需要は引き続き弱い」とも指摘した。
エコノミストはまた、今年初めから続く米国の不安定な通商政策がインド経済の成長見通しにとってマイナス要因になっていると警鐘を鳴らした。
イエス・バンクのチーフエコノミスト、インドラニル・パン氏は民間投資について「たとえ利下げをしても投資が大きく伸びるとは思わない。民間投資は環境によって左右されるからだ。最終的には需要の見通しや全体的なセンチメントが鍵になるが、今のところ世界経済の不確実性が逆風になっている」と述べた。
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