イタリアで開催中の第108回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、5月25日に北部フリウリヴェネツィア・ジュリア州のフィウーメ・ヴェーネトから、ヴェネト州のアジアーゴまでの219kmで山岳区間の第15ステージを競い、スペインのカルロス・ベロナ(リドル・トレック)が43kmを独走で逃げ切り、32歳でグランツール区間初優勝を果たした。
 

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アシストのベロナが32歳でグランツール区間初優勝を果たした (photo : LaPresse)

 
マリア・ローザを着たメキシコのイサーク・デルトロ(UAEチーム・エミレーツ・XRG)は、29秒遅れの区間17位でレースを終え、総合首位の座を守ってジロ2週目を終えた。

総合上位の選手たちがマリア・ローザの集団でゴールするなか、スロベニアのプリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)だけは最後のカテゴリー2のドリ峠で遅れてしまい、1分59秒遅れの区間31位でレースを終えた。ログリッチは今大会の総合優勝候補だったが、マリア・ローザのデルトロよりも3分53秒遅れとなり、総合5位から10位へと陥落してしまった。
 

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今年のジロはメキシコのデルトロがマリア・ローザを守って最終週へと突入する (photo : LaPresse)

チッコーネが不出走

第15ステージは169選手が出走。前日落車に巻き込まれて右大腿部の筋肉を負傷したイタリアのジューリオ・チッコーネ(リドル・トレック)がスタートしなかった。逃げと吸収が繰り返された後、50kmで山岳賞のマリア・アッズーラを着たイタリアのロレンツォ・フォルトゥナート(XDS・アスタナ チーム)を含めた35人の大きな集団が逃げ出す事に成功し、標高1611mでカテゴリー1のモンテ・グラッパ峠を上り始めた。

ゴールまで残り90.4kmのモンテ・グラッパ頂上はマリア・アッズーラのフォルトゥナートが先頭で通過し、山岳賞ポイントを稼いだ。集団ではコロンビアチャンピオンのエガン・ベルナル(イネオス・グレナディアズ)がアタックし、マリア・ローザのデルトロがすぐに付いていった。

そこにリチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト)、デレク・ジー(イスラエル・プルミエテック)、テイメン・アレンスマン(イネオス・グレナディアズ)が合流し、集団に15秒差を付けて山頂を通過したが、このマリア・ローザのグループは長い下りで集団に吸収された。
 

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モンテ・グラッパでアタックしたベルナルに付いていくマリア・ローザのデルトロとカラパス (photo : LaPresse)

 
先頭の逃げでは下りでマルコ・フリーゴ(イスラエル・プルミエテック)が独走を開始し、他の選手たちが集団に吸収された後、再び10人が逃げ出して先頭のフリーゴに追いつき、残り57kmで逃げグループは再構成された。そこに加わっていたベロナはこの日最後の峠だったカテゴリー2のドリ峠が始まるとすぐにアタックし、単独でゴールを目指した。

メイン集団では再びイネオス・グレナディアズがベルナルのアタックの準備を始め、ドリ峠の中腹にあったレッドブルKMでベルナルがアタックを仕掛けたが成功しなかった。ゴールまで30kmで総合4位に付けているエクアドルのリチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト)が攻撃を開始し、マリア・ローザのデルトロだけでなく、主要な選手たちが全員応戦するなか、ログリッチだけは動かず、後方の集団に留まっていた。
 

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カテゴリー2のドリ峠で繰り広げられた総合争いの闘いにログリッチの姿はなかった (photo : LaPresse)

 
ゴールまで27.5kmでベロナがドリ峠の頂上を先頭で通過した時、ログリッチはすでにマリア・ローザ集団から40秒以上遅れていた。ベロナは後続に22秒差を付けてアジアーゴに到着し、区間初優勝を果たした。彼はゴールで妻子に迎えられ、喜びを分かち合っていた。

 

■区間初優勝したベロナのコメント
「明らかにこのジロには区間優勝できると思って来てはいなかったから、嬉しかった。ここにはピーダスンとチッコーネを全面的にサポートするためにいた。昨日我々がチッコーネを失った時、全てが変わったんだ。今日はボクの日だった。自分のためにそれをしたかったのではなく、チームのためにしたかった。チッコーネがこのレースのためにどれほど努力していたのかを知っていたからだ。ボクはとても遠くから行かなければならなかった。チームのために勝たなければならなかったからだ」
 

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(photo : LaPresse)

■第15ステージ結果
[5月25日/フィウーメ・ヴェーネト~アジアーゴ/219 km]
1. VERONA QUINTANILLA Carlos (LIDL-TREK / ESP) 5:15:41
2. STORK Florian (TUDOR PRO CYCLING TEAM / GER) + 0:22
3. SCARONI Christian (XDS ASTANA TEAM / ITA) + 0:23
4. BARDET Romain (TEAM PICNIC POSTNL / FRA) + 0:23
5. PRODHOMME Nicolas (DECATHLON AG2R LA MONDIALE TEAM / FRA) + 0:23
6. ZANA Filippo (TEAM JAYCO ALULA / ITA) + 0:23
7. GAROFOLI Giacomo (SOUDAL QUICK-STEP / ITA) + 0:26
8. FIORELLI Filippo (VF GROUP BARDIANICSF-FAIZANE’ / ITA) + 0:29
9. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) + 0:29
10. POOLE Max David (TEAM PICNIC POSTNL / GBR) + 0:29
17. DEL TORO ROMERO Isaac (UAE TEAM EMIRATES XRG / MEX) + 0:29
31. ROGLIČ Primož (RED BULL – BORA – HANSGROHE / SLO) +1:59

■第15ステージ後の総合成績(マリア・ローザ)
1. DEL TORO ROMERO Isaac (UAE TEAM EMIRATES XRG / MEX) 55:54:05
2. YATES Simon Philip (TEAM VISMA | LEASE A BIKE / GBR) + 1:20
3. AYUSO PESQUERA Juan (UAE TEAM EMIRATES XRG / ESP) + 1:26
4. CARAPAZ Richard (EF EDUCATION – EASYPOST / ECU) + 2:07
5. GEE Derek (ISRAEL – PREMIER TECH / CAN) + 2:54
6. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) + 2:55
7. TIBERI Antonio (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) + 3:02
8. BERNAL GOMEZ Egan Arley (INEOS GRENADIERS / COL) + 3:38
9. ARENSMAN Thymen (INEOS GRENADIERS / NED) + 3:45
10. ROGLIČ Primož (RED BULL – BORA – HANSGROHE / SLO) + 3:53

[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ): PEDERSEN Mads (LIDL-TREK / DEN)
■山岳賞(マリア・アッズーラ): FORTUNATO Lorenzo (XDS ASTANA TEAM / ITA)
■新人賞(マリア・ビアンカ): DEL TORO ROMERO Isaac (UAE TEAM EMIRATES XRG / MEX)
(※第16ステージは AYUSO PESQUERA Juan (UAE TEAM EMIRATES XRG / ESP) が着用)

最終週は頂上ゴールのアルプス山岳区間でスタート

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●第16ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)

 
5月26日は3回目の休養日となり、翌日からはいよいよ最終週がスタートする。5月27日はヴェネト州のピアッツォーラ・スル・ブレンタから、トレンティーノ・アルト・アディジェ州のブレントーニコにある標高1315mでカテゴリー1のサン・ヴァレンティーノ頂上までの203kmで、頂上ゴールの第16ステージが行われる。コースは途中カテゴリー2とカテゴリー1の峠を3カ所通過する。ゴールのサン・ヴァレンティーノ山は全長18.2kmで中腹にボーナスタイムが獲得できるレッドブルKMがかけられている。
 

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(photo : LaPresse)

 

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