ドイツ・ミュンヘンからイタリア・イモラへ⋯悪天候&渋滞の試練のドライブ
ドイツ在住でモータースポーツを取材している池ノ内みどりさんは、WEC(FIA世界耐久選⼿権)の取材のためイタリアのイモラサーキットへ! 渋滞100kmやイタリア人の懐事情、イタリア流煽り運転など、移動の一日をレポートします。
話題のランチアのEV「イプシロン」に遭遇
ボンジョルノ! イタリアへ取材旅行のために、自宅のあるドイツ・ミュンヘンからイタリア・イモラへ向かっています。悪天候の影響で大好きなアルプスの峠越えをしながら行く予定は叶わず、とても退屈なルートであるイタリアの高速道路「アウトストラーダ」を通ってイモラへ。この日はイースターの連休ということもあり、ドイツ方面から走っているクルマの大半がドイツナンバー。それも私と同じミュンヘンナンバーばかりだったので、「ここはドイツ国内のアウトバーンかな?」と思ってしまうほどでした。
視界がとても悪い土砂降りのアウトストラーダをなんとか走り進め、次第に雨も止んできて「やれやれ」と思ったのも束の間、今度はモデナ手前から渋滞が発生。10〜20km/hで少し進んだかと思えば、しばらく停止……の繰り返しです。この日は走行セッションはなかったものの、早くサーキットに着いて取材準備をしたかったので焦ります。渋滞は緩和することなく、いつも大混雑しているボローニャを通過する頃にはさらに酷くなっていました。せめてもの救いは、お天気が回復したことでした。
渋滞の中でストップ・アンド・ゴーを繰り返しているとき、ふとぼんやりとサイドミラーを見たら、「なんだこれは?」というクルマを発見。なんと、新しいEVのランチア「イプシロン」ではありませんか。ドイツではまだ一度も見かけたことがなかったので、驚きました。ランチアには、素敵なイタリア美人のおふたりが乗っておられました。
以前のコラムでも書きましたが、私がとても気になっているフィアット「グランデ パンダ」には、今回のイタリア滞在中、一度も遭遇できませんでした。しかし、黄色いルノー「5 E-TECHエレクトリック」とは一度だけすれ違えて、とても嬉しかったです。
まさかの100km以上のノロノロ地獄
そんなこんなで、なんとモデナ手前からイモラのインターチェンジを降りるまで、100km以上を渋滞の超ノロノロ運転で過ごすことに。案の定、到着した頃にはアクレディテーションセンターはすでに閉まっており、パスも駐車券も受け取れなかったためサーキットには入れず。スーパーマーケットに寄って、そのまま宿へ向かうことにしました。自宅を朝8時過ぎに出発し、イモラのメディアアクレディテーションセンターに到着したのが18時ちょうど。ナビの当初の予定では15時半には着くはずだったのですが……。
サーキットから宿までは、畑の真ん中を走る田舎道を30km近くひたすら進みます。イタリアの田舎道の制限速度は90km/h。対向車とすれ違うのも厳しい道幅や、住宅街では50km/hや30km/hの制限があるうえ、オービスもたくさん設置されています。しかしイタリア人はお構いなしで、まるで制限速度なんて存在しないかのようにビュンビュン飛ばして行きます。
一方、私は警察署からラブレターをいただきたくないので、きちんと制限速度を守ります。そうすると案の定、めちゃくちゃ煽られます。どれだけ煽られるかというと、私のバックミラーに後続車のヘッドライトが隠れて見えないほど。また、車体を右に左にとゆさゆささせて煽ってくるのですが、イタリアに来るたびに同じことがあるので、私も慣れてしまい「勝手に抜いて行ってくださいね」というスタンスです。
対向車が来ているのに命がけで追い越しをする人も多く、イタリア人は本当にチャレンジャーなイメージです。その追い越しで、私と正面から向かい合ったようなシチュエーションも何度も経験していますので、本当に「勘弁してくださいよね」といいたくなります。
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