欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会のシェフチョビッチ委員(貿易・経済安全保障担当)は23日、トランプ大統領が6月1日からEU製品に対し50%の関税を課すと警告したことを受け、欧米の貿易交渉は脅しではなく「相互の尊重によって導かれるべき」という認識を示した。21日撮影(2025年 ロイター/Toby Melville)
[ブリュッセル 23日 ロイター] – 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会のシェフチョビッチ委員(貿易・経済安全保障担当)は23日、トランプ大統領が6月1日からEU製品に対し50%の関税を課すと警告したことを受け、欧米の貿易交渉は脅しではなく「相互の尊重によって導かれるべき」という認識を示した。
シェフチョビッチ氏はグリア米通商代表部(USTR)代表、ラトニック米商務長官と会談。双方にとって有益な取引の確保に全力を尽くすと強調した。
米当局者との協議後、Xへの投稿で「欧州委は引き続き真摯に問題に取り組む用意がある。EUと米国の貿易は比類なきもので、脅しではなく、相互尊重に基づき進められなければならない」と強調。同時に「われわれは自らの利益を守る用意がある」とも言明した。
トランプ氏はこの日、関税を巡ってEUに圧力をかけたほか、米国内で販売されるアップル(AAPL.O), opens new tabのスマートフォン「iPhone」が米国内で製造されていない場合、アップルが25%の関税を支払う必要があるとも主張。主要株価指数は急落、ドルは主要通貨に対して下落し、ユーロは上昇幅を縮小した。 もっと見る
ベレンベルクのチーフエコノミスト、ホルガー・シュミーディング氏は「トランプ氏については何が起こるか分からないが、これは大きなエスカレーションになろう」と指摘。「EUは反応せざるを得ないだろうし、米国と欧州の経済に大きな打撃を与えることになる」と語った。
関税を巡る米とEUの協議は行き詰まっている。協議に詳しい関係者によると、米がEUに一方的な譲歩を要求、米企業に門戸を開くよう求める一方、EUは双方が利益を得られるような合意を主張している。
トランプ氏の発言後、EU首脳や閣僚は欧州委のアプローチを大筋で支持した。EUの輪番議長国であるポーランドのミハエル・バラノフスキ経済次官は、関税を巡る脅しは交渉上の策略だと指摘。「EUと米国は交渉中だ」とブリュッセルでの会議の合間に記者団に語り、交渉は7月上旬まで続く可能性があると続けた。
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