アメリカの大手銀行が共同でステーブルコインの発行を検討:報道

アメリカの大手銀行数行は暗号資産に対抗するため、共同でステーブルコインの導入を検討している。

この動きは、規制環境の改善と暗号資産関連企業との競争激化に影響を受けている。大手銀行のコンソーシアムの協議はまだ初期段階にあり、今後変更される可能性がある。

アメリカの大手銀行は、暗号資産(仮想通貨)に対抗するため、共同でステーブルコインの発行を検討している。

ウォール・ストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)は、事情に詳しい関係者からの情報として、JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase)、バンク・オブ・アメリカ(Bank of America )、シティグループ(Citigroup)、ウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo)などの金融大手が、この件に関する議論を行ったと報じた。報道によると、協議はまだ初期段階にあり、内容が変わる可能性もあるという。

このコンソーシアムには、これらの銀行大手が所有する決済事業も参加している。例えば、Zelleを運営するアーリー・ウォーニング・サービス(Early Warning Services)や、リアルタイム決済を扱うザ・クリアリング・ハウス(The Clearing House)などが挙げられている。

ステーブルコインは、法定通貨や商品などの他の資産の価値に連動した暗号資産で、数秒で取引を決済できる。銀行は、従来のシステムでは数日かかる国際送金を効率化するため、ステーブルコインに可能性を見出している。

コンソーシアムの議論で浮上したアイデアの1つは、コアグループ以外の銀行にも開放されたステーブルコインのモデルだ。WSJは、議論に詳しい関係者の話として、地域銀行も同様の道を模索していると付け加えている。

この動きは、アメリカ政府が規制に向けて歩みを進めている中で起こっている。米上院は最近、「GENIUS法案(Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoin Act:アメリカのステーブルコインのための国家イノベーション指導・確立法案)」を可決した。ウィリアム・ハガティ(William Hagerty)上院議員(テネシー州・共和党)はこの法案を「決済用ステーブルコインのための初の成長促進型規制枠組みを確立する」と説明している。

規制環境の改善を受けて、暗号資産企業は銀行免許の取得を模索しており、銀行への圧力はさらに高まっている。

一部の大型金融機関はすでに動き出している。ソシエテ・ジェネラル(Société Générale)は2023年に暗号資産部門のSGフォージ(SG Forge)を通じてユーロ建てのステーブルコイン「EURCV」を発行した。現在、米ドル建てのステーブルコインの発行も検討中だと報じられている。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Major U.S. Banks Mull Jointly Launching Stablecoin: WSJ

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