5月22日、ニュージーランド(NZ)政府は今年度(2025年6月30日まで)の新規支出を過去10年間で最低に設定した。成長率鈍化と世界的な関税戦争による経済への「貿易ショック」を警告しながらも、財政支出を厳しく抑制した。写真はウィリス財務相。2024年5月撮影(2025年 ロイター/Lincoln Feast)
[ウェリントン 22日 ロイター] – ニュージーランド(NZ)政府は22日、今年度(2025年6月30日まで)の新規支出を過去10年間で最低に設定した。成長率鈍化と世界的な関税戦争による経済への「貿易ショック」を警告しながらも、財政支出を厳しく抑制した。
NZ経済は昨年縮小し、消費低迷や米国の貿易・経済政策を巡る不確実性の高まりが回復の足かせとなっている。
ウィリス財務相は予算案発表後、「世界情勢は懸念材料だ。他国の関税をコントロールすることはできない。われわれがコントロールできるのは自国の条件だけだ」と語った。
政府は今年度の新規運営支出を13億NZドルに設定。過去10年で最低となる。成長に対する外部からの逆風が強まっているものの、財政の健全性を重視する。
財政赤字見通しは147億4000万NZドルで、昨年12月に公表された半期財政報告での173億2000万NZドルから縮小した。
財務省は世界的な貿易戦争により各国の政策当局者が難題に直面しているとし、25/26年度の経済成長率予想を2.9%に下方修正。昨年12月時点の予想は3.3%だった。同期間のインフレ率予想は2.1%で従来から変わらずだった。
貸付金を除く純債務は、27/28年度に国内総生産(GDP)比46%でピークに達する見通し。昨年12月には26/27年度にGDP比46.5%でピークを打つと予想していた。
格付け会社のS&Pは、NZの財政赤字と経常赤字の増大は「信用格付けに重くのしかかる可能性のある弱点だ」と述べた。
NZ2年国債利回りは4ベーシスポイント(bp)低下して3.358%となり、NZドルは0.3%安の0.5923米ドルで推移している。来週にも政策緩和が必要との見方が強まった。
フォーサイス・バーの投資ストラテジスト、ゾーイ・ウォリス氏はメモで「マクロ経済環境の悪化、税収の減少、世界的な不確実性の高まりにより、すでに厳しい予算がさらに厳しくなる」と指摘。政策金利のオフィシャルキャッシュレートが27年6月まで約2.5%に引き下げられ、29年6月までその水準に維持されるとの財務省予想は、現在の中央銀行や市場の予想よりもはるかに長い利下げサイクルだと指摘した。
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