ロシア・ウクライナの安全保障に詳しい専門家は、アメリカのトランプ大統領と電話会談を行ったロシアのプーチン大統領について「うまくトランプ氏を丸め込んだ」と述べ、ロシアは、停戦に応じる姿勢を見せつつ時間稼ぎをしながらウクライナでの占領地拡大など目標の達成を目指すという見通しを示しました。

エストニアのシンクタンク、国際防衛安全保障センターで研究員を務める保坂三四郎氏は21日、NHKのオンラインインタビューに対し、米ロ首脳による電話会談に関して「プーチン氏はビジネスの話も含めて、トランプ氏をみずからの方に引き寄せたのだろう。うまくトランプ氏を丸め込んだと見ている。トランプ氏は圧力として用意した追加制裁のカードは切らなかった」と述べプーチン氏は、鉱物資源の取り引きなども話題にしながら有利に会談を進めたという見方を示しました。

そのうえで、ロシアは停戦に応じる姿勢を見せつつ時間稼ぎをしながらウクライナでの占領地拡大など目標の達成を目指すという見通しを示し、「トランプ氏の和平を巡る取り引きよりも戦場の状況をもっとみなければいけない」と述べました。

一方、ウクライナの出方については「アメリカが主導することに反対すると軍事支援を止められるなどどのような対応をとられるかわからないので、主権や領土の問題を譲らない形で、つきあっていくジェスチャーを見せる」と述べ、トランプ政権の意向に配慮しつつ有利な交渉環境の整備に努めるという見方を示しました。

そのうえで保坂氏は今後の停戦協議に関して「停戦は遠のいた。トランプ氏の平和に向けた取り引きへの期待は低かったが、さらに下回る形となった。トランプ氏が仲介から手を引く可能性はあると思う」と述べ、ロシア軍が戦闘を継続する中でウクライナにとってはアメリカやヨーロッパからの軍事支援がいっそう欠かせなくなっていると指摘しました。

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