中国最優遇貸出金利、昨年10月以来の引き下げ 国有銀は預金金利下げ

5月20日、中国人民銀行(中央銀行)は、銀行貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を昨年10月以来初めて引き下げた。北京の同銀前で2020年2月撮影(2025年 ロイター/Jason Lee)

[北京 20日 ロイター] – 中国人民銀行(中央銀行)は20日、銀行貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を昨年10月以来初めて引き下げた。一方、国有銀行は預金金利を一斉に引き下げた。中銀が米中貿易戦争が国内経済に及ぼす影響を和らげる措置を打つ一方で、銀行は利ざやの保持に動いた。

LPRは、1年物が3.1%から3.0%に、住宅ローン金利に影響する5年物は3.6%から3.5%へそれぞれへ10ベーシスポイント(bp)引き下げられ、LPRメカニズムが刷新された2019年以来、最低となった。

大手国有銀行の中国工商銀行(601398.SS), opens new tab、中国農業銀行(601288.SS), opens new tab、中国建設銀行(601939.SS), opens new tab、中国銀行(601988.SS), opens new tabは預金金利を5─25bp引き下げた。普通預金金利を5bp引き下げ0.05%に、定期預金金利は1年物を15bp、3年物と5年物は25bp下げた。今後、中小行も追随するとみられる。

MUFG銀行(中国)のチーフ金融市場アナリスト、マルコ・サン氏は、人民銀行と国有銀行の二重の金利引き下げについて、融資拡大と消費喚起が目的だと指摘。その上で「経済安定期待を後退させるほど地政学リスクが悪化しない限り、人民銀行は今後数カ月、様子見姿勢に転換する可能性が高い」と述べた。

野村の首席中国エコノミスト、陸挺氏も、米中貿易戦争が現在90日間の「休戦」に入っていることから、中国当局への景気支援策・改革圧力がやや和らいだとみる。それでも相当規模の景気支援策を打ち出さなければ5%前後という成長率目標を達成するのはかなり厳しいと指摘した。

<銀行の利ざや圧縮>

中国の主要銀行は2023年に3回、昨年は7月と10月に預金金利を引き下げた。しかし公式データによると、第1・四半期の商業銀行の純利ざやは1.43%と過去最低だった。

ANZのシニア中国ストラテジスト、Xing Zhaopeng氏は、今回の預金金利引き下げは予防的なものだとし「商業銀行の純利ざやを回復させ、将来に備えることが目的の一つだ」と述べた。7月末までにさらに1回の金利引き下げがあると予想している。

中国国際金融(CICC)は、借り入れ需要が低迷する中、各行が顧客獲得に向け低金利融資を打ち出しており、純利ざやは今年さらに10─15bp低下すると予想する。

ムーディーズのアナリスト、ニコラス・チュー氏は、低金利の長期化を予想。「預金コストの低下は、資産利回り低下の影響を一定程度緩和する」と述べた。

The chart shows China's weighted average reserve requirement ratio.The chart shows China’s weighted average reserve requirement ratio.

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