豪中銀が0.25%利下げ、政策金利2年ぶり低水準に

5月20日、オーストラリア準備銀行(中央銀行)は政策金利のオフィシャルキャッシュレート(OCR)を4.10%から25ベーシスポイント引き下げ、2年ぶりの低水準となる3.85%とした。シドニーの豪中銀前で2017年2月撮影(2025年 ロイター/Steven Saphore)

[シドニー 20日 ロイター] – オーストラリア準備銀行(中央銀行)は20日、政策金利のオフィシャルキャッシュレート(OCR)を4.10%から25ベーシスポイント(bp)引き下げ、2年ぶりの低水準となる3.85%とした。市場も利下げを予想していた。

国内インフレの抑制で、世界的な貿易リスクの高まりに対応する余地が生じており、数カ月以内の追加利下げに含みを持たせた。

前回4月会合後、世界情勢は大きく変化した。

中銀は声明で、インフレ上振れリスクが低下し、国際情勢が国内経済を圧迫するとの予想を踏まえて利下げしたと説明。

中銀のブロック総裁は会見で、理事会では金利据え置きと利下げを検討したとし、50bp利下げの是非についても議論したことを明らかにした。

総裁は2月の利下げ後にタカ派的な姿勢を示していたが、今回の会見では、状況は変化したと発言。トランプ米大統領が4月2日に相互関税を発表したことや、先行きが依然として非常に不透明なことに触れた。

「これは、われわれが長期にわたる一連の利下げに向かっていることを意味するのか。現時点では分からない。このため、迅速に行動する必要があれば行動できるという認識の下、25bpの慎重な利下げを選択した。余地はある」と述べた。

市場は総裁の発言をハト派的と受け止めた。豪ドルは0.5%下落し1豪ドル=0.6425豪ドル。3年債先物YTTc1 15ティック上昇した。

スワップ市場は現在、7月の追加利下げの確率を60%と予想。8月の利下げは100%以上織り込まれている。ターミナルレート(政策金利の最終到達点)は3.35%ではなく3.1%になる可能性が高いと予想されている。

総裁は「インフレを抑制すると同時に雇用市場を比較的良好な状態に維持できており、これまでのところ順調だと思う」と述べた。

併せて発表した四半期金融政策声明では、世界的な貿易摩擦の連鎖的な影響により、インフレ率がやや低下し、失業率はやや上昇すると予想。トランプ米政権の高関税政策が世界経済成長を鈍化させ、豪経済にディスインフレをもたらすとした。新たな経済予想見通しで想定するターミナルレートは3.1─3.35%だった。

ステート・ストリート・マーケッツのアジア太平洋マクロ戦略責任者、ドワイフォー・エバンス氏は「物価と金利に関する予測は、金融引き締めの緩和に向けた工程表を示唆している」と指摘した。

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