米株式相場は上昇一服。前日までの6営業日続伸で、S&P500種株価指数は4月安値から20%近く上昇していた。市場では新しい起爆剤が求められている。

株式終値前営業日比変化率S&P500種株価指数5940.46-23.14-0.39%ダウ工業株30種平均42677.24-114.83-0.27%ナスダック総合指数19142.71-72.75-0.38%

  S&P500種の時価総額は8兆6000億ドル(約1234兆円)膨張した後、「買われ過ぎ」領域に近づいたとの見方から、騰勢を失った。大型ハイテク株が総じて下げ、株価指数を押し下げた。アルファベットは1.5%下落。テスラは大型ハイテク株の中で唯一上昇した。イーロン・マスク氏は5年後も最高経営責任者(CEO)として同社を率いる意向だと言明した。

Traders At The New York Stock Exchange As Stocks Bounce From Lows

ニューヨーク証券取引所

Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

  S&P500種はこの日は下げたものの、5月は予想外に堅調な動きを見せている。数カ月に及ぶ混乱を経て、市場はトランプ大統領の関税政策が恐れていたほど厳しくないと受け止めた。それでもこの上昇基調が続くかどうか、投資家はチャートに手がかりを求めている。同株価指数は一部のテクニカルアナリストが相場過熱の兆候と指摘する水準に近い。

  ミラー・タバクのマット・メイリー氏は「株式市場のモメンタムが極めて強いことに異論の余地はない。とはいえ、短期的には買われ過ぎの状態になっており、いつ買い一服となってもおかしくない」と話す。「しかしその一服が深刻な反転にならない限り、近いうちに過去最高値を再び試すことも十分にあり得る」と述べた。

S&P 500 Halts Six-Day Rally

S&P500種株価指数

出所:ブルームバーグ

  トニー・SK・リー氏らJPモルガン・チェースのストラテジストは、株式相場は最近持ち直したものの、関税による不確実性や経済データの軟化、財政の向かい風といったリスクがその持続性を脅かしているとリポートで指摘した。

  個別企業のニュースでは、アップルは外部企業が同社の人工知能(AI)モデルを使用してソフトウエアを開発できるようにする計画を進めている。新たなアプリ開発を促し、同社のデバイスの魅力を高めたい狙いがある。

   ホーム・デポは米国内の売上高が上向いているとして、通期の業績見通しを据え置いた。経済見通しが不安定な中でも個人消費が持ちこたえている兆候が示された。

  モデルナやノババックスなどワクチン製造大手の株価が上昇。米食品医薬品局(FDA)が明らかにした新型コロナウイルスのワクチン認可方針が、予想より穏便な内容と受け止められた。

動画:JPモルガン・アセット・マネジメントのプリヤ・ミスラ氏

出所:ブルームバーグ

米国債

  米国債市場では長期債利回りが上昇。米議会での予算交渉が行き詰まり、市場の関心は財政支出の伸びに集まった。州・地方税(SALT)控除上限の大幅引き上げ要求に、トランプ大統領はいら立ちを募らせていると政府高官が明らかにした。巨額減税法案の速やかな可決を目指す共和党の取り組みが、行き詰まっていることが示唆された。

国債直近値前営業日比(bp)変化率米30年債利回り4.96%6.21.25%米10年債利回り4.48%3.40.76%米2年債利回り3.97%-1.0-0.26%  米東部時間16時54分

  30年債利回りは4.996%まで上昇し、5%に迫った。世界的に国債の供給に需要が追いついていない兆候が示された。

  ガルダ・キャピタル・パートナーズのティム・マグヌスン最高投資責任者(CIO)によれば、米政府の放漫財政に対する債券市場の反乱はまだ終わっていない。議会に財政赤字の抑制を説得するには、国債利回りの急速な上昇が唯一有効な手段だと同氏は指摘する。

  「財政政策での最終的な決定権は、債券市場が持つだろう」とマグヌスン氏はインタビューで述べた。議員らが「試されるのはまだこれからだ。5%が限界ではない」と話した。

  ミシュラー・フィナンシャル・グループのマネジングディレクター、トム・ディガロマ氏は「米国債価格の軟調と利回り上昇は、昨今の供給とつながっている」と指摘した。

  日本の財務省が20日に実施した20年利付国債入札が不調となったほか、カナダ国債利回りがインフレ指標を受けて急伸。米国債市場を圧迫した。

  アジアの取引時間では米国債利回りが小幅に上昇。香港年金基金が規制により強制売りに追い込まれる可能性があるとの、ブルームバーグ報道が影響した。

  香港の年金制度、強制積立基金制度(MPF)の下で運営される合計1兆3000億香港ドル (約24兆円)相当のファンドは、米国が承認された格付け機関からAAAまたは同等の格付けを受けている場合にのみ、資産の10%超を米国債に投資することを認められている。先週のムーディーズによる格下げ後、AAA級格付けを付与しているのは日本の格付投資情報センター(R&I)のみとなった。

  KKRのグローバルマクロ・資産配分責任者ヘンリー・マクベイ氏は、財政赤字の拡大や粘着性のあるインフレは、株式が売られる際に国債が常に買われるとは限らないことを示唆するとリポートで指摘。両資産の伝統的な関係性が崩れつつあると論じた。

  「リスクオフの局面に、国債はもはや従来型ポートフォリオにおける『ショック吸収剤』としての役割を果たしていない」と記した。

外為

  外国為替市場ではドル指数がもみあった後、下落した。円は対ドルでほぼ終日堅調に推移し、144円台半ば。主要通貨の中ではオーストラリア・ドルが出遅れ。オーストラリア準備銀行(中央銀行)は今年2回目となる利下げを決定した。

為替直近値前営業日比変化率ブルームバーグ・ドル指数1222.71-2.27-0.19%ドル/円¥144.51-¥0.35-0.24%ユーロ/ドル$1.1284$0.00440.39%  米東部時間16時54分

  ドル売り・円買いはアジア時間から優勢となっていた。加藤勝信財務相は閣議後会見で、今週カナダで開かれる主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の場でベッセント米財務長官との2国間協議を調整しているとの考えを改めて示した。

  オプション市場では向こう1年間のドルに対する悲観的な見方が広がっている。ブルームバーグ・ドル・スポット指数の1年物リスクリバーサル(プットとコールの差)は、マイナス28ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に低下。5年前のコロナ禍初期に付けた水準を下回り、ブルームバーグのデータでさかのぼれる2011年以来、最もネガティブとなった。

Long-Term Dollar Sentiment Sours to Worst on Record | One-year risk reverals most bearish in data back to 2011

ブルームバーグ・ドル・スポット指数の1年物リスクリバーサル

出所:ブルームバーグ

  UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのソリタ・マルチェリ氏は「投資家は多面的な不確実性に囲まれており、この先は高いボラティリティーが見込まれる」と指摘。「貿易合意が恒久的なものになるには、さらなる進展が必要になりそうだ。トランプ大統領が推し進める減税も債券市場への圧力を強めかねない。経済への向かい風が強まっても、連邦準備制度理事会(FRB)は利下げに動かない見通しだ」と述べた。

   セントルイス連銀のムサレム総裁は関税措置について、米経済への重しとなり、労働市場を軟化させる可能性があるとの見解を示した。現行の金融政策について、経済見通しがどのように変化しても対応できる良い位置にあるとの認識を示した。

原油

  原油先物相場は下落。イランに対する制裁の見通しが不透明な中、不安定な値動きとなった。

  イランの最高指導者ハメネイ師が米国との協議に懐疑的な姿勢を示したのを受け、核合意への期待は後退。ハメネイ師は、米国との交渉が成功するとは思わないとし、トランプ政権に対して「ばかげた話をしないよう努めるべきだ」と語った。

  イランと米国の協議の行方に関する報道が入り混じる中、原油価格は先週から不安定な値動きが続いている。協議が進展すれば、すでに供給過剰が予想されている市場にさらなる原油が流入する可能性がある。

  BOKファイナンシャル・セキュリティーズのシニアバイスプレジデント、デニス・キスラー氏は「石油輸出国機構(OPEC)やイラン、ロシアを巡る動向がもっと明確になるまで、原油市場は先の見えない道を進んでいるようなものだ」と語った。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物7月限は、前営業日比0.2%安の1バレル=62.03ドルで終了。6月限はこの日が最終取引日だった。ロンドンICEの北海ブレント7月限は0.2%下落し65.38ドル。

  金相場は続伸。通商を巡る緊張や米政策金利見通しが意識される中、金スポット価格がテクニカル上の節目を上抜けたことで、ショートポジションを買い戻す動きが広がった。

  サクソバンクの商品戦略責任者、オーレ・ハンセン氏によると、金価格が1オンス=3250ドルの水準を上回ったことで、ショートカバーの動きが加速したという。

金スポット価格の推移

 

出所:ブルームバーグ

  金相場は先週、貿易摩擦の緩和を背景に週間ベースでは昨年11月以来となる大幅な下落を記録。ただ、中国など一部の国との通商交渉が一定の進展を見せるなかでも、多くのアナリストは、トランプ関税が景気の減速を招き、インフレを助長するとの見方を崩していない。経済の先行き不透明感に対するヘッジとされる金にとっては、こうした環境は追い風となる。

  金のスポット価格はニューヨーク時間午後2時現在、前日比56.07ドル(1.7%)高の1オンス=3285.63ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は、51.10ドル(1.6%)高の3284.60ドルで引けた。

原題:S&P 500 Falls After $8.6 Trillion Surge From Lows: Markets Wrap(抜粋)

原題:Treasuries Resume Slide as Global Investors Focus on Bond Supply(抜粋)

原題:KKR Says Bonds’ Role as Portfolio ‘Shock Absorbers’ Is Eroding(抜粋)

原題:US Downgrade Sounds Alarm for Hong Kong Funds in Treasuries (3)(抜粋)

原題:Dollar Weakens as Aussie Lags Behind Peers; Yen Up: Inside G-10(抜粋)

原題:Oil Edges Down in Choppy Trade as Investors Seek Clarity on Iran(抜粋)

原題:Gold Advances as Traders Assess Trade Tensions and Fed Rate Path(抜粋)

 

 

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