イーロン・マスクに少なくとも14人の実子 米メディアが警鐘「出生奨励主義」に潜む女性差別や優生思想のリスク【Talk Gender~もっと話そう、ジェンダーのこと~】
出産を奨励する「プロナタリズム」がアメリカで広がっています。イーロン・マスク氏はその代表的な存在で、少なくとも14人の子どもがいるそうです。Xで母親になる女性を募集し、“軍隊レベル”の数の実子を持つと意気込むマスク氏の狙いとは?
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日テレ報道局ジェンダー班のメンバーが、ジェンダーに関するニュースを起点に記者やゲストとあれこれ話すPodcastプログラム。MCは、報道一筋35年以上、子育てや健康を専門とする庭野めぐみ解説委員と、カルチャーニュースやnews zeroを担当し、ゲイを公表して働く白川大介プロデューサー。 “話す”はインクルーシブな未来のきっかけ。あなたも輪に入りませんか?
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■イーロン・マスク氏には少なくとも14人の子どもがいるとされている
NNNニューヨーク 末岡寛雄支局長:
「プロナタリズム」という言葉なんですが、プロというのは「賛成している」とか「促進する」という意味で、ナタリズムというのが出生主義、子どもを産むということなんですけど、この2つを合わせて「出産を奨励する主義」とされているんです。
アメリカの新聞のウォール・ストリート・ジャーナルが4月に「イーロン・マスク氏には14人の子どもがいるとされている」という記事を書いたんです。
報道局ジェンダー班 白川大介プロデューサー:
14人と言われると見ちゃいますね。一体どういう記事だったんですか?
末岡:イーロン・マスク氏は4人の女性との間に少なくとも14人の子どもがいると報じているんです。1人目の女性との間に6人。2人目はミュージシャンのグライムスさんで、3人。マスク氏が展開しているニューラリンク社の幹部の女性との間に、4人の子どもがおり、さらに4人目のセント・クレアさんとの間に1人の子どもがいるというかたちで、ウォール・ストリート・ジャーナルはこの4人目の方の証言をもとに記事を書いているそうです。
白川:なりゆきではこんなことにならないと思うので強い意志を感じるんですけど、どういう理由があるんでしょうか?
末岡:ウォール・ストリート・ジャーナルによるとマスク氏は自身の子どもたちを「legion(=軍団)」と呼んでいます。ローマ帝国の勢力拡大に重要な役割を果たした古代の軍隊を指しているそうです。
さらに、4人目のセント・クレアさんが妊娠しているときに、より多くの子どもを産んでもらうために他の女性を呼ぶ提案をしており、Xで母親になる女性を募集しているという話もあるそうなんです。
白川:簡単に言うと“マスク軍団”を作ろうとしているということですね。
末岡:チャットGPTで有名なオープンAIのCEOのサム・アルトマンさんも「もちろん大家族を持つつもりだ」と発言するなど、プロナタリズム主義者だといわれているんです。
アルトマン氏は生殖医療のスタートアップにもたくさん投資しているそうです。人工子宮だとか、生殖細胞じゃない細胞から卵子を作るとか、あとは受精卵を検査して遺伝的に疾患がありそうなものを判別できるようにするとか。
■広がる人口減少への危機感「子どもを産まなければ文明は崩壊する」
白川:ちょっと尋常じゃない感じがするんですけれども、その背景にはどういう思想があるんでしょうか?
末岡:マスク氏は人口減少に対してすごい危機感を持っているんですね。彼のポストを見ていると、「人々がもっと子どもを産まなければ文明は崩壊する」と警告しているんです。2021年のテスラの会議でも「出生率を解決すべき最も重要な問題として捉えるべきだと考えます。新しい人間を生み出さなければ、人類は存在しなくなり、世界中の政策も意味をなさなくなります」と発言しています。
白川:マスク氏の血筋が途絶えることを心配しているだけじゃなくて、日本もそうですけれども、人類全体が少子化して人口が減っていくと、人間の築いてきた文明が崩壊するという考えがその背景にあるんですね。
マスク氏のプロナタリズムは、トランプ政権の政策にも影響を与えているんでしょうか?
末岡:ニューヨークタイムズは先月、「ホワイトハウスが出生率を向上させる策を検討している」と報じています。検討中のアイデアとしては、子ども1人につき5000ドルの出生手当を渡すとか。今円安ですから70万円ぐらいになると思います。あとは、どのタイミングだと妊娠しやすいのかといった月経周期の講座へ資金提供することなどが提案されているそうなんです。
白川:出てきた政策だけを見ると日本でいう子育て支援政策につながるような印象もあります。
■プロナタリズムと優生思想が結びついたら何が起こる?
白川:アメリカ社会ではどんな反応があるんでしょうか?
末岡:プロナタリズムはいろんな思想と結びつく可能性があって、批判があります。白人至上主義や女性蔑視、また、優生思想に結びつくんじゃないかということです。
白川:優生思想というのは、より“優れた”遺伝子を次世代に残すべきだという考え方ですね。「良いものを残そう」というのは、裏返すと「悪いものを残さない」ということにもつながる、極めて危うさのある考え方かと思います。
末岡:歴史の話になってしまいますけど、ヒトラーがユダヤ人を虐殺したのは「ユダヤ人よりもアーリア人の方が優れている」という考えからです。第二次世界大戦中にホロコーストによって600万人のユダヤ人が亡くなったとされているので、ホロコーストで亡くなった人口を取り戻そうと、今ユダヤ人はすごく子沢山なんです。そして、イスラエルの人口が増えているから、パレスチナ人が住んでいるところに入植地を増やしていく。「人口=国のパワーだ」という考えに結びついていくというわけです。
アメリカ社会では今、ラテン系の移民が増えています。「もともと私たち白人が作った国だ」と主張する人たちが、「私たちの国が乗っ取られるんじゃないか」と考え、さらに「優秀な白人の子どもを作っていくのが大切だ」みたいになりかねない危うさがあるんです。
■プロナタリズムと女性蔑視
白川:女性蔑視も気になります。長い歴史の中で子どもを産んで育ててケアするのが女性の役割だとされ、家庭内に押し込められてきたわけですよね。それに対して「No」を突きつけて「私たちにも同じ権利を」と立ち上がったのがフェミニズムだと思うんです。
“昔は良かった”みたいな話じゃなくて、女性も働き続けることを前提にする社会の子育てサポート体制とか、例えばシングルマザー家庭や専業主夫家庭など、いろんな家庭のあり方をポジティブに捉えていくことでしか変わっていかないんじゃないかと思うんですけど。
末岡:アメリカで子育てをして最初に驚いたのが、学校行事に父親が積極的に参加してるんですよね。それも平日の夜に。日本だと平日の午後5時や6時から野球の練習に付き合うとか、子どものコーラスの発表を見に行けるかというと、なかなか無理ですよね。
大前提として、子どもを持つ、持たない、何人持ちたいといったそれぞれの意思が尊重されるべきです。その上で、女性に「産め」と強いるのではなくて、金銭的な問題や、子どもを持ちながら仕事を続けられる社会環境をどうやって整備していくのか。みんなが安心して子育てできるように所得を上げていくとか、社会環境を整備していくことがすごく大切なのかなというふうに私は思います。
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1 Comment
多様性の時代ですから、イーロンさんの生き方も価値観として認めるべきでは?そういう見え透いた政治思想の扇動ばかりだからオールドメディアと揶揄されるんですよ。