EU・英、防衛や安全保障で暫定合意 首脳会議に先立ち

 5月19日、欧州連合(EU)と英国は、同寿逸に開催されるEU・英首脳会議に先立ち、防衛・安全保障、漁業、若者の移動に関する暫定合意に達した。ロンドンで撮影(2025年 ロイター/Carlos Jasso)

[ロンドン/ブリュッセル 19日 ロイター] – 欧州連合(EU)と英国は、19日に開催されるEU・英首脳会議に先立ち、防衛・安全保障、漁業、若者の移動に関する暫定合意に達した。EU当局者が明らかにした。

英国のEU離脱後、最も重要な関係再構築となる。一部の貿易障壁を撤廃し、防衛分野で協力することで、英経済の成長を後押しし、欧州大陸の安全保障を強化することを目指す。

ブリュッセルのEU各国政府代表は、英・EU間の共通理解文書を受け取り、この文書は現在、EU27カ国全ての政府による承認手続きが行われているところだという。

スターマー英首相とEUの行政機関である欧州委員会のフォンデアライエン欧州委員長、欧州理事会(EU首脳会議)の常任議長のコスタEU大統領が19日にロンドンで会談し、協定に署名する。

EUのある外交官は「EU・英首脳会議のさまざまなテキストや並行的な側面について合意がある」と説明。「私の理解では、全ての加盟国は、首脳会議が始まろうとしている今、テーブルの上に置かれた内容に満足しているようだ。現在、全加盟国の正式な合意を得るための文書による手続きが進行中だが、問題はないだろう」と語った。

エコノミストは、英国にとって最大の貿易相手であるEUとの協定見直しが、最近インドや米国と締結した協定よりも国内経済へより大きな影響を及ぼす可能性があると指摘する。一方で、英国がEUの単一市場や関税同盟への再加盟を拒否しているため、経済効果は限られるとの見方もある。

スターマー氏はXに、「前を向き、古い政治闘争から抜け出し、国民の生活を向上させる常識的で実用的な解決策を見いだす時だ」と投稿した。

今回の合意の核となるのは防衛・安全保障協定で、英国企業がEUの大型防衛契約へ参画する道が開けた。しかしBAEシステムズ(BAES.L), opens new tab、ロールスロイス(RR.L), opens new tab、バブコック(BAB.L), opens new tabといった英企業が、1500億ユーロ(1670億ドル)規模の欧州再軍備計画に参加するためには、さらなる合意が必要となる。

漁業に関しては、英国とEU双方の船舶が今後12年間、互いの海域で操業することが認められる。英国は強力な交渉材料の一つを失うことになるが、その見返りとして、多くの中小食品生産者にとって欧州への輸出の障壁となっていた煩雑な書類手続きや国境検査が恒久的に削減される。

英国からの旅行者はEU域内の空港で電子ゲートを利用し、より迅速に通過できるようになる。

代わりに英国は一定年齢の若者が相手国で就学・就労・居住できる制度の枠組みに合意し、詳細については今後詰めることになった。また学生交換プログラム「エラスムスプラス」への参加についても協議を進める。

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