カナダ産原油、拡張パイプライン経由の中国輸出が急増 貿易摩擦で

カナダの主要原油産地アルバータ州と同国西海岸を結ぶ「トランス・マウンテン」パイプラインが拡張されて以降、同パイプラインで輸送された原油を最も多く輸入した国は中国だったことが、船舶輸送データで明らかになった。トランプ米政権が仕掛けた貿易戦争により、カナダからの原油の流れが変わった格好だ。写真は同パイプライン拡張プロジェクトが完了したブリティッシュコロンビア州バーナビーにある貯蔵施設。昨年5月撮影(2025年 ロイター/Jennifer Gauthier)

[カルガリー/ヒューストン 16日 ロイター] – カナダの主要原油産地アルバータ州と同国西海岸を結ぶ「トランス・マウンテン」パイプラインが拡張されて以降、同パイプラインで輸送された原油を最も多く輸入した国は中国だったことが、船舶輸送データで明らかになった。トランプ米政権が仕掛けた貿易戦争により、カナダからの原油の流れが変わった格好だ。

同パイプラインは拡張プロジェクトが完了して昨年5月1日に輸送を開始した。これにより輸送能力は3倍に増えて日量89万バレルとなり、アルバータ州で生産された原油を米国の西海岸やアジア市場へ輸送できるようになった。

情報分析会社ケプラーの船舶輸送データによると、拡張された同パイプラインが昨年6月に全面稼働して以降、同パイプラインから中国への輸出量は平均で日量約20万7000バレルとなり、2023年までの10年間の平均である日量約7000バレルから大きく増えた。

同じ期間に同パイプラインから米国への輸出量は日量約17万3000バレルだった。

トランプ米大統領の通商政策に起因する貿易戦争によって米国とカナダの関係は緊迫化している。原油に対する米国の関税や、トランプ氏がカナダを米国の51番目の州とする意向を表明したことを受け、カナダは輸出の分散化を図っている。

一方で中国はカナダ産原油に関心を強めており、米国がロシア産やベネズエラ産の原油に制裁を科していることも、中国のカナダ産輸入拡大につながった。

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