中国の挑戦的スタンスが米国との「関税の休戦」をもたらしたことで、トランプ政権に対し、貿易協議でより厳しい姿勢を取るべきだという確信が一部の国・地域に芽生えつつある。

  1週間前に成立した米中合意により、長期化が予想される困難な交渉に一定の枠組みが与えられた。ジュネーブでの協議では、米国の対中関税率を30%に引き下げることで合意した。しかし、過去に導入された関税を計算に入れると、中国からの輸入品に米国が課す関税率は平均50%近くに達する。

  それでもトランプ米大統領が当初の145%の関税率から大幅に譲歩した事実は、欧州連合(EU)や韓国など、これまで報復措置に訴えず、米国からの協議の要請に応じ続けた各国・地域の当局者を驚かせた。

  中国の強硬な交渉戦術が一時的とはいえ、有利な合意を引き出したため、より外交的かつ優先的な対応を取ってきた各国・地域は、それが正しい方法だったか疑問視し始めた。

  米通商交渉の担当者を経験したISEASユソフ・イシャク研究所のスティーブン・オルソン客員上級研究員は「交渉の力学を変える出来事だ。多くの国・地域がジュネーブでの交渉結果を見て、トランプ氏がやり過ぎを自覚し始めたと判断するだろう」と指摘した。

Trump Says 10% Tariff Baseline Unless ‘Exceptional’ Offer Made

トランプ米大統領(ホワイトハウスの大統領執務室で、5月9日)

Photographer: Yuri Gripas/Abaca/Bloomberg

  トランプ政権が全ての貿易相手国・地域に課す10%の一律関税は今も維持されている。さらに90日の停止期間が終了する7月までに合意が成立するか延期が認められない場合、上乗せ関税が発動される見通しだ。

  各国・地域の当局者は、より強硬なアプローチを取るシグナルを公に表したくない意向だが、大国を中心に想定より多くのカードが存在し、交渉ペースを緩める余裕があると認識し始めた兆候が見て取れる。

原題:China-US Trade Truce Prompts Nations to Consider Tougher Tactics(抜粋)

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