逃げ切りが決まったジロ・デ・イタリア第8ステージは、ルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)が45.5kmの独走決める。24歳のオージーがグランツール初勝利を飾り、区間3位のディエゴ・ウリッシ(イタリア、XDSアスタナ)がイタリア人として4年振りとなるマリアローザに袖を通した。
アコーディオンとログリッチ photo:RCS Sport敢闘賞のゼッケンつけるトネッリ photo:RCS Sport

ジュリアノーヴァを出発した173名の選手たち photo:RCS Sport
ジロ・デ・イタリア第8ステージ コースプロフィール photo:RCS Sport今大会最初の山頂フィニッシュだった翌日も、第108回ジロ・デ・イタリアは1級山岳が用意された。アドリア海の面するジュリアノーヴァからアルペン山脈を目指す第8ステージは、197kmの丘陵ステージ。まず3級山岳を越え、1級山岳サッソテット(距離13.1km/平均7.4%)はコース中央に設定されているため、逃げにとって大きなチャンスのあるレイアウトとなった。

アクチュアルスタートと同時にXDSアスタナが積極的に仕掛け、マリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)を着るマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)ら3名が先頭で集団を形成する。そのままピーダスンは1つ目の中間スプリントを争うことなく先頭通過。しかしメイン集団からは逃げを諦めない選手たちが飛び出し、直後に先頭3名を捉えた。

逃げに乗り、中間スプリントポイントを狙ったマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:RCS Sport
何度も逃げはシャッフルされた photo:RCS Sport
振り出しに戻った集団からはナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)がポルティ・ビジットマルタの2名と先頭に立ち、3級山岳を通過する。しかしこれも引き戻されると、コフィディスが3名を入れた計19名の逃げグループが成立。ロマン・バルデ(フランス、ピクニック・ポストNL)などが入った強力な逃げに対し、プロトンを先導するレッドブル・ボーラ・ハンスグローエがイージーペースに切り替えた。

そのため逃げのリードはみるみる拡大していく。マリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)を着るロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ)が1級山岳をトップ通過する頃には、その差は5分まで拡がった。

逃げに乗り、1級山岳をトップ通過したロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、XDSアスタナ) photo:CorVos
マリアローザを手放す意思を示したプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:RCS Sport
逃げ集団の人数が多すぎると判断した選手たちは、その下りと登り返しでペースアップする。その結果、先頭はフォルトゥナートやバルデなど9名に絞られ、残り70km地点でルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)がアタック。それにより7名まで人数が減り、残り51km地点でウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)とディエゴ・ウリッシ(イタリア、XDSアスタナ)の2名となった。

レース先頭の展開が目まぐるしく変わるなか、最後から2つ目の3級山岳で先頭に追いついたプラップが再び仕掛ける。残り45.5km地点で単独先頭に立ったプラップは頂上を越え、後続と30秒差で下りに入る。プロトンではバーレーン・ヴィクトリアスの牽引によって、一時逃げとの差が縮まったものの、UAEチームエミレーツXRGが主導権を握ると再びペースが落ち着いた。

精鋭集団から飛び出し、残り45.5km地点から単独先頭に立ったルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) photo:RCS Sport
プラップを追いかけるケルデルマンとウリッシ photo:RCS Sport
オーストラリアのタイムトライアルとロード王者にそれぞれ3度輝いてるプラップは、快調に脚を回しながらレッドブルKMを通過。そしてケルデルマンとウリッシら後続との差を1分まで拡げながら4級山岳をクリアする。一方、終始リラックスムードが包んだプロトンでは、4級山岳でトーマス・ピドコック(イギリス、Q36.5プロサイクリング)がアタックしたものの、ピッタリとマークするフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)らを振り切ることはできなかった。

そして危なげない走りを見せたプラップが、カステルライモンドのフィニッシュ地点に到着。両手を拡げ、45.5kmの独走でグランツール初の区間優勝を手に入れた。

独走勝利を決めたルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) photo:CorVos
スタッフと勝利を喜ぶルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) photo:RCS Sport
2024年にイネオス・グレナディアーズから母国オーストラリアのジェイコに移籍し、24歳にして掴んだジロのステージ勝利。「本当にクレイジーで信じられない。毎年オーストラリアの夏(1月)に標準を定め、ヨーロッパで良い成績を挙げられないでいた。昨年のジロでは何度も勝利に迫っていたので(3度のトップ5)、今日達成することができて特別な気持ちだ」と喜んだプラップ。「スプリントでは勝ち目がないと思い、早い段階で仕掛けなければと思っていた。それに近年のレースでは距離の長い独走が効果的だということもあった」と勝因を語った。

2位には38秒遅れでケルデルマンで入り、3位は同タイムでウリッシがフィニッシュ。マリアローザを着るログリッチが4分50秒遅れでレースを終えたため、ウリッシが総合首位に立った。

マリアローザ獲得を知り、喜ぶディエゴ・ウリッシ(イタリア、XDSアスタナ) photo:CorVos
4年振りにイタリアにマリアローザをもたらしたディエゴ・ウリッシ(イタリア、XDSアスタナ) photo:CorVos
2021年のアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、ジェイコ・アルウラー)以来、イタリア人としては4年振りのマリアローザ着用となったウリッシ。「逃げに乗るために力を使い、プラップには敵わなかったものの、マリアローザに向けて力を尽くした。沿道からの声援も力に変え、もう少しで36歳になる僕に忘れられない瞬間が訪れた」とコメント。トスカーナ出身のウリッシが、トスカーナを舞台とする第9ステージをマリアローザで臨むこととなった。

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