子どもへの英語教育熱の高まりとともにインターナショナルスクールや海外留学に注目が集まるようになりました。その選択肢のひとつとして人気が高まっているのが、イギリスのボーディングスクールです。
イギリスで学ぶ小中高の留学生、約700名のサポートを行う英系企業、ピッパズ・ガーディアンズのカントリー・マネージャーを務める黒田よりこさんに、ボーディングスクールの最新事情などを教えていただく短期連載。
今回はボーディングスクールの話から少し離れて、イギリスの教育でも重視されているという「読書」についてです。
トップ画像©️Horris Hill School
宿題より大切!それが「読書」の習慣
イギリスの教育にはたくさんの魅力があります。息子の小中高生活を通じて、私が最も惹かれたものの1つは 、「子どもの読書」を尊いものと位置付け、学校と家族が一体となり本を読む習慣を奨励していた点でした。
息子は幼稚園の年長で『かいけつゾロリ』(原ゆたか著)シリーズにハマって以来、本の虫。小1の夏に海外で暮らすようになってから『おさるのジョージ』(H.A.レイ著)をはじめとした既に日本語で理解している絵本を英語で読みながら、英語力を身につけようと努力をしていました。彼にとって、最もストレスなく英語に触れられる手段が「読書」だったのです。その読書との距離がより近く、関係も濃くなったのが、イギリスでの生活でした。

イギリスの学校では、「読書」がとても貴重なものだと考えられています。それを実感する出来事が、転校してすぐにありました。
学校の面談で息子が本ばかり読んでいて宿題の時間を確保するのが難しいと英語の先生に何気なくぼやいたところ、「読書をしていたら中断させないでください。宿題より読書が優先。読書をしていて宿題の時間が取れない日は、その旨を担任までご一報ください。最大限の配慮をします」と。そう聞いた時には、とても驚きました。なぜなら日本で教育を受けた私にとって、宿題に勝る大切なものなどなかったからです。この考え方に感銘を受けたのを覚えています。

私が学生時代は、習い事や勉強、部活が忙しく、「時間がない」を言い訳にまったく読書に時間を費やしませんでした。それを後悔して、大人になってから小学生で読むべきとされている本、『トムは真夜中の庭で』(フィリッパ・ピアス著)や『モモ』(ミヒャエル・エンデ著)、を読んでみましたが、大人になってから読むのと、子どもの時に読むのとでは内容の受け止め方がだいぶ違うと実感し、今更取り戻せない大きなものを失ったような気がしていました。だからこそ、この先生の言葉が響いたのかもしれません。
英語の上達に欠かせない習慣、それが読書

実は、この読書は英語力アップに最も効果的な方法だとイギリスでは考えられています。実際にイギリスの英語の先生に「英語上達のために何をしたら良いでしょう?」と尋ねれば、「読書」という回答が必ず返ってきます。その確率は私の経験上、ほぼ100%です。
読書は基礎的な読解力を鍛え、好奇心を掻き立てるだけでなく、認知能力の向上、クリティカル・シンキングやコミュニケーション能力、共感力や感情までも育成すると考えられており、子どもの心身の成長に欠かせないものの1つだと認識されています。
イギリスでは日本と同じように推薦図書は存在するものの、本の選択は子どもに委ねられている印象を受けました。流行のスパイ小説、冒険小説、古典でもハウツー本など、ジャンルは問わず、読書に親しむ時間が貴重です。最初は5分だった読書の時間が、少しずつ長くなり、読書の世界は果てしなく広がります。
読書の後に「読書感想文を書く」という概念がないことも、本を読む行為がプレッシャーにならない理由のような気がしました。
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