
山形地方合同庁舎(資料写真)
労働基準法や最低賃金法などに違反するとして、2024年に県内の労働者が労働基準監督署に対して事業主の行政指導を求めた「申告」の件数が、前年比37件増の201件となり、2年連続で前年を上回ったことが山形労働局のまとめで分かった。賃金の未払いや有給休暇が消化できないといった相談の件数も増えており、同局は人手不足や不況を背景として、従業員にしわ寄せが及んでいる可能性を指摘する。
申告の内容は賃金不払いが前年より35件増の162件で最多。解雇手続きに関する内容は1件減の23件、最低賃金に関しては1件減の10件だった。申告した業種別は、保健衛生が前年より18件増の33件で最も多かった。次いで商業は8件増の32件、建設業は27件で横ばいだった。農林や畜産などが含まれる、その他は16件増の45件だった。農林や畜産で倒産による賃金不払いがあり、大幅増の主因となった。
「賃金が不払いになっている」とする申告事例では、事業主が事実上の倒産状態で、財産を差し押さえられているケースがあった。国による未払い賃金の立て替え払い制度で救済したといい、同局は「監督指導を徹底し、倒産による賃金未払いがあれば適切に対応したい」としている。
また、労働基準法、最低賃金法などに関わる法定労働条件の相談のうち、労働者から寄せられたものが3033件で、前年から74件増加した。賃金の未払いや、年次有給休暇が取得しづらいことへの不満が多く寄せられているという。使用者や労働者の家族などを含む全体の相談件数は、前年比177件減の5015件だった。

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