私は、Juno 《ジュノ》という作家名でジュエリーを作っています。
Junoはローマ神話に登場する女神の名で、女性の生きる力や尊厳、母性と成熟の美しさを象徴しています。
本名のJunko《ジュンコ》から派生させたもので、自分自身の新たな出発、そして作品に込めた祈りを重ねるような気持ちで名づけました。

これまでは、私個人や家族、親しい友人のためにジュエリーを作ってきました。
日常からアイディアを着想し、本質にアプローチする作業を通して、テーマを浮き上がらせて形作ります。普遍的で、希望のあるものが好きです。

そして、いよいよ今年から、少しずつ外の世界に作品を届けていくことに決めました。

museepicassoJunoのレリーフがあるピカソ美術館(パリ)

私は今、双極性障害(躁鬱病)と共に生きています。
心にずっと抱いている夢は「もう一度、自分の力で立つこと」。
私は、ジュエリー作家として歩み始めたいと思っています。

その第一歩として、5月末から1か月間、フランスに滞在することを決めました。この旅は、私自身への挑戦であると同時に、土地や人との出会いに導かれながら進めていく、創作のプロセスでもあります。

bipolar※双極性障害の症状は千差万別です。ここでは私個人のお話を記しています。

プロジェクトの目的

①ジュエリー・アトリエでの研修、現地リサーチ
現地のアトリエで新たな技術を学び、作り手たちとつながり、知見を広げます。

②双極性障害と共にある生き方を伝える 
病を抱えていても、自分らしく生きられるという選択肢を、ありのままの姿を通して示したいと考えています。
※世界における双極性障害を取り巻く現状が少しわかる記事をご紹介します。すぐに読めて興味深い内容なのでよろしかったらご一読ください。
Forbes JAPAN – グーグル創業者らが200億円注ぐ「双極性障害」の研究プロジェクト

③生活面での自立を実践する 
家族のもとを離れ、日々の暮らしを自分で支える練習をします。障害の特性上、大きなチャレンジとなります。

かつて私は、外資系企業でフルタイム勤務をし、パリに数ヶ月滞在したり、貯金して数年暮らしたりしていました。前向きに行動し、人生を思いきり楽しんでいました。フランスにも友人・知人が増え、往復を続けていました。

私が双極性障害を発症するまでは——。

この病は再発率が高く、治療は生涯と医師に告げられ、目の前が真っ暗になりました。入退院を繰り返し、絶望しました。二度と味わいたくない辛さの中で、何度も生きることをやめたいと思いました。

実際、私は15年ほど、躁と鬱を繰り返しながら生きています。今は以前に比べて安定してきましたが、ひどい症状が現れるときに消耗するエネルギーはとてつもなく大きく、働き方にも制限があります。週に数回、短時間の就労が限界で、長期的な仕事は難しくなりました。その事実に心も傷つき、受け入れるのに時間がかかりました。

virgo星に願いを込めて作った乙女座のペンダントトップ(SV925, K18GP)

最初の治療からしばらくして症状が落ち着いた頃から、「私は人生に失敗した」と思うようになりました。周りにすっかり遅れをとって、結婚、出産、キャリアはおろか、日々の小さな喜びさえも失ったように感じていました。

こんなはずじゃなかった。

とても悲しくて、いつもどこかに<そうではない答え>を探していました。そんなある日、思いがけず出会った女性が言ったのです。

「失敗か成功かを決めるのは、他人じゃない。あなた自身よ」

その言葉に、涙がこぼれました。
失敗という答えを出したのは、私だった。それは真実じゃなかったんだ。私は誰からも隠れずに、恥じずに生きていいんだ。障害を受け入れ、そんな自分を好きでいていいんだと、少しずつ思えるようになりました。

もちろん簡単ではないので、うまくいかない日もあります。それでも私は今、あの時には見えなかった<答え>をしっかりと自分の手にし始めています。

ふしぎなことに、ジュエリーを作っているときはいつも自分に素直でいられます。自分のことを好きになれます。

それはきっと、ものごとや人の「真実」のようなものに触れる、やさしい瞬間があるから。無限に広がる未知の空間にアクセスする魔法の鍵を手にしたかのように感じるから。そして見えないものを形にすることに純粋によろこびを感じるからだと思います。

me日本のアトリエで作業中のわたし(友人M撮影)

振り返ればこれまで、映像、写真、グラフィックデザイン、小物づくりなど、さまざまな創作に私は取り組んできました。どれもそれなりに満足はしたものの、どこかピンとこず、長続きには至りませんでした。

そんな私がやっとたどり着き、続いているのが、ジュエリー制作です。

1人でこつこつと取り組む作業。
自分のペースでできること。
私が紡ぐものがたりを身につけられること。
古来より装飾品には魂や神聖な祈りが深く結びついていること。
そんな根源的な力を、自分の手でそっと形にできること。

私が導かれるようにしてこの場所に来たのには、理由があったのです。

最初は、たまたま出会った彫金教室。
でも、いつしか「ジュエリーを作って生きていきたい」という思いが、私の中で静かに、確かに育っていきました。

フランスとのつながりは、もう26年以上になります。
そしてこの国こそが、「私もアーティストになれる」と初めて感じた、私の原点です。

創作をする上で、フランスは特別な土壌を持っていると感じます。アートやものづくりが日常と地続きにあり、「誰かに評価される」ことよりも、「自分の表現を大切にする」姿勢が根づいているように思います。

以前、現地のジュエリー・アトリエで学んだ経験を通して、たくさんの作り手たちに出会いました。彼らの姿には気負いも飾りもなく、ただ自然体で表現する透明さと強さを見ました。「アーティストであること」は、自分で選び取るものなのだと、深呼吸をするように気持ちよく教えられた気がします。

こんなにも素朴でやさしく、自由な場所は、きっと私の「回復」と「出発」の道すじになる——。

だから、フランスに力を借りたい。

sunわたしのたいよう(ブローチ、Brass, K18GP)

■ご支援いただいた資金について
 必要最低限の費用を明確に見積もっています

1. 滞在費(約20万円)
2. 現地アトリエ研修費(約12万円)
3. リターン制作にかかる材料・工賃・梱包・発送費(*受注数に応じて変動)
4. 日本の彫金工房の使用料(*受注数・制作期間に応じて変動)
5. 制作に必要な道具の補充(*必要に応じて)
6. Campfireさんにお支払いする手数料17%

■リターンについて

大きく分けて以下の組み合わせです

1. オンライン企画 ※ジュエリーを含みません
滞在中のニュースメール配信、Zoom会(自由参加)、自作ポストカード・デジタル版3種

2. ジュエリー各種
フランス滞在中に得たインスピレーションをもとにデザインを制作します。非対称、歪み、傷やへこみのような質感など、あえて完璧ではない要素を取り入れた、あたたかみのある仕上がりです。これまでの自身の経験や感性を生かした私のオリジナルです。

テーマ:希望・自然・愛・生命・可能性・不完全な美…など

*ジュエリー制作過程を、段階的にメールにてお届けします。私のモチベーションにもなりますし、皆さんに見つめていただけたらと思う気持ちから考えました。(ご安心もしていただきたいです!)

3. 自作ポストカード(プリント)3種 
滞在中の写真や絵、テキストなどで構成

◉ 知っておいていただきたいこと ◉

・すべて手作りなので、同じデザインでもそれぞれの表情がことなる一点ものです。

・ひとつずつ順番に制作していくので、お渡し期間に幅があります。

・すべてのジュエリーにお渡しから10年間のアフターケア対応をさせていただきます。

[金属の種類について]

○シルバー素材にK18イエロー/ピンク・コーティングをご選択の場合(本体部分)
 チェーンやパーツは*SV925素材に**K14GFとなります。
○シルバー素材にK18ホワイト・コーティングをご選択の場合(本体部分)
 チェーンやパーツはSV925素材にロジウムコーティング加工(RP/RhP)となります。
 ※ロジウムは銀白色の貴金属で、シルバーを変色から保護し、光沢と耐久性を持たせるためにコーティングします。とても丈夫で傷がつきにくく、アレルギー反応も出にくくなります。
○18Kソリッドゴールド・ジュエリーをご選択の場合
 チェーンやパーツも18Kソリッドゴールドとなります。

 *SV925…925スターリングシルバー
 **K14GF…14Kゴールドフィルド。金張り。14Kゴールドを高熱と圧力で芯材(この場合はSV)に圧着させたもの。
 ***リターン内容欄内「ハイグレードコーティング」…プレーティング加工(厚メッキ)となります。高度な技術により、光沢に耐久性があります。

schedule

※どれくらいの制作個数になるのか未知なので、場合によってはスケジュールが予定と前後することも考えられます。遅れる際には必ずご連絡をし、制作過程メールを継続の上、きちんとお手元にお届けすることをお約束いたします。

私は今、46歳でこの挑戦をしています。
経験を積んだからこそできることがある。それがやっと理解できるようになりました。光も闇も、すべてに意味があった。どれが欠けても私ではないのです。

人生は、やり直すものではなく、続いていくもの。
病にかかっても、どう生きるかは自分で選択できる。

私がチャレンジする姿を、いろいろな方に見ていただけたらと思います。

今回のプロジェクトを立ち上げるのに当たって、きっと多くの人がそうであるように、大きなコミットメントと勇気が必要でした。
クラウドファンディングは人々が助け合う素晴らしい仕組みです。でも実は、今回を最初で最後にできたらと思っています。なぜなら、この後は自分の力で立てるようになりたいからです。

私は今、わくわくドキドキしています。
どんな作品を自分が作るのか、いったい支援してくださる方はいらっしゃるのか、どんな方々とつながることができるのか、そしてわれながら時間はかかったけどよく立ち上げたなあと笑顔でパソコンに向かっています。これからが大仕事ですが!
細やかにサポートしてくださったCampfireのご担当者さまにもこの場を借りてお礼申し上げます。

長い長い文章を最後まで読んでくださったみなさん、本当にありがとうございます。それだけでも感謝の気持ちでいっぱいです。なるべくシンプルにしたかったのですが、やっぱり丁寧に伝えたい、そういう気持ちが上回りました。

応援していただければ大きな励みになります。

あなたにも実りがありますように。

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