5月2日(金)に米国で2025年4月の雇用統計が発表される。米連邦公開市場委員会(FOMC)の金融政策運営に影響を与える重要指標で、市場関係者の関心は高い。この記事では、QUICK Money Worldの関連記事を中心に雇用統計のスケジュールや市場の予想などを解説する。

米雇用統計とは?

米国の雇用情勢を調べた経済指標のこと。失業率、非農業部門雇用者数をはじめ、建設業雇用者数、製造業雇用者数、小売業雇用者数などの業種別雇用者数、週平均労働時間、平均時給などが米国労働省から発表される。失業率と、非農業部門雇用者数の増減は特に注目される指標の一つ。通常、翌月の第一金曜日に発表されている。

雇用統計の主な内容には、「非農業部門雇用者数」があります。製造業やサービス業など農業以外の産業で、前月からどれくらい雇用者が増えたかを示しています。増加していれば、雇用が順調に増え、経済が拡大していると判断されます。このほか、雇用統計には働きたいが実際には職がない人の割合を示した「失業率」や雇用者の賃金がどれくらい伸びているかを示す「平均時給の伸び率」などがあります。

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雇用統計はなぜ重要?

雇用統計は米国全体の雇用情勢を総合的に把握できる指標で、米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を決める際の重要な判断材料となっている。

労働市場の流動性が高い米国では、景気動向によって就業者数が大きく変動する。米連邦準備理事会(FRB)がその使命に物価の安定とともに「雇用の最大化」を掲げていることもあり、金融政策を占ううえでも重要性は高い。

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雇用統計は、いつ発表される?

4月の米雇用統計は、今週末の5月2日(金)の日本時間22時30分に発表される。

市場の予想は?

4月の米雇用統計は、雇用の勢いが鈍化すると見られている。

また、今回は2月から本格化した米政府効率化省(DOGE)による政府リストラの影響が注目される。

ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想では前月比横ばいで、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は同0.1%上昇と伸びは2月から鈍化する見込み。

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4月の米雇用統計は、トランプ政権の政策の影響を受け、雇用の勢いが鈍化する可能性がある。

今回は2月から本格化した米政府効率化省(DOGE)による政府リストラの影響が注目される。3月分では、連邦政府職員の減少幅は2月の1万1000人から4000人に縮小していた。有給休暇の状態になっている職員などはまだ雇用状態とみなされていたためだ。


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今後の見通しは?

4月の雇用統計の結果次第では、米国の景気後退入りが強く意識されることになる。

米民間調査会社によると米国の企業や政府機関が3月に公表した人員削減計画は計27万5240人と2021年から2024年の平均の6倍に跳ね上がり、うち8割が政府部門だという。消費者、企業の景況感の悪化や個人消費支出など経済の実体を示す統計の鈍化傾向など、足元では米景気の減速を示すデータが示されている。雇用統計の結果次第では、米国の景気後退入りが強く意識されることになる。

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前回はどうだった?

前回3月の雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月比22万8000人増と市場予想(13万~14万人増)を上回った。

前回3月の雇用統計では、非農業部門の就業者数は前月比22万8000人増と市場予想(13万~14万人増)を上回った。失業率もわずかな上昇にとどまった。

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