グレーゾーンでもある
それが、最も明瞭かつやさしく記されていたのは、スズキ・イタリアの公式サイトである。4代目「ジムニー」も、前述のN1規格のメリットに浴せるからか、そこには商用車登録ならではの注意点がQ&A形式で解説されていた。以下は概要だ。
最初は「親戚や知人を乗客として輸送できますか?」という問いだ。これに対しては、「残念ながら、その答えは道路交通法に明記されていません」とことわったうえで、こう続けている。「しかし、イタリア交通警察のより明快な解説によれば、N1車両では、移動する車両の使用または輸送に必要であれば、車検証に規定されている範囲内で乗客を輸送できます」。慎重に解釈すれば、家族の送迎やレジャーは可否の判断が難しくなる。
続くは「未成年者はN1車両に乗せられますか?」との質問である。何が言いたいかといえば、ビジネスでの乗車が想定されない人物、例えば子どもを乗せても構わないか? ということだろう。これに関してもスズキ・イタリアは、「道路交通法では直接言及されていません」と前置きしたうえで、法律の他の条文を参照すると「未成年者が積載物を使用する場合、または運搬に必要な人員である場合に限り同乗できます」と説明している。
わが家には子どもがいないので、それはたいして気にならないが、続くQ&Aが問題だった。「会社名義のN1車両は、土日に運転できますか?」との質問に対する答えだ。「可能ですが、会社名義かつ税額控除対象である場合、曜日に関係なく通常業務以外の目的で使用はできません。運転者は会社の所有者、共同経営者、従業員または商品を受領)する企業の所有者、共同経営者、または従業員のみです(この場合、書類を提示する必要があります)。同じ制限は同乗者にも該当します」とある。
路上検問などにおける公安関係者の解釈次第では、ピックアップのレジャー使用は違反と判断されてしまう危険性がある。わが家のように、物理的に商品を輸送する可能性が低い場合、そして目立ちやすい外国人の場合は避けたほうがいい。李下(りか)に冠を正さずである。
そういえば、米国系ピックアップで思い出すのは十数年前、ある祭りでのことだ。「怪力男ショー」という催しが組まれていた。ステージには1台の乗用車が載っていた。
怪力男は本人の体格にふさわしいマットブラック塗装のラム1500に乗って登場した。開催時間、まず怪力男は司会者の質問に答えるかたちで、格闘技や武道における受賞歴を誇らしげに語った。続いて彼は、乗用車が載った台座に手を掛けた。そして雄たけびとともに持ち上げてみせた。取り巻いていた観客からはやんやの歓声が沸いた。
イベント終了後、別行動で会場内を散策していた細君が筆者にささやいた。まだ残っていたステージ上のクルマを怪力男の要領で持ち上げてみたところ、難なく浮き上がったというのだ。どうやら「てこ」の原理を導入していたらしい。筆者も試してみたかったのだが、怪力男が帰ってきて「てめえ、余計なことしやがって!」などと絡まれるといけないのでやめておいた。税金や法制度しかり、ピックアップトラックの周囲にはトリッキーなものがつきまとうようだ。
(文=大矢アキオ ロレンツォ<Akio Lorenzo OYA>/写真=大矢麻里<Mari OYA>、Akio Lorenzo OYA/編集=堀田剛資)
これはマツダの海外市場向けトラック「BT-50」ベースの「フォード・レンジャー」。2006年から2011年まで生産され、欧州でも販売された。2023年4月シエナ郊外で撮影。
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このように懐かしいモデルも発見。1988年から99年まで生産された「シボレーC/K」である。右奥には「フォード・レンジャー」がたたずんでいる。2020年10月シエナ郊外で撮影。
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シエナ外国人大学本部前にたたずむ冒頭の「フォード・レンジャー ワイルドトラック」。メリットを享受できる人にとって、ピックアップは無視するには惜しい選択肢だ。
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