過去3年間で投資銀行業界の潮目がいかに劇的に変化したかを物語る最も象徴的な出来事の一つが、スペイン南部のコスタデルソルで起きている。

  米シティグループは、ウォール街が過去最高益を達成した直後の2022年初頭、当時最も深刻な課題だった若手バンカーの採用と離職防止に取り組む新たな施策として、スペインのリゾート都市マラガに新拠点を開設した。

Regional Economy And Tourism on Spain's Costa del Sol

マラガのビーチ

Photographer: Angel Garcia/Bloomberg

  だが今、状況は一変。トランプ米大統領の関税への懸念などでM&A(企業の合併・買収)や新規株式公開(IPO)は低迷し、数年にわたる「干ばつ」状態が続いている。

  若手バンカーたちにとっても、いまや関心の中心はワークライフバランスではなく「雇用の安定」だ。

  こうした状況を背景に、シティはマラガ拠点を閉鎖することを決定した。

  同行はブルームバーグの取材に対し「当行の主要なスペイン拠点はマドリードで、220人余りが勤務している。今回の措置による影響はない」とコメント。「投資銀行業務、ウェルスマネジメント、マーケット業務などの中核分野において、引き続きスペインでの戦略的成長を進めていく」と付け加えた。

  シティがマラガ拠点開設計画を発表した当初は、最大30人を採用予定だった。今回の閉鎖に伴い、その一部はパリやロンドンの拠点へ異動となり、6人程度は退社する予定だという。

  シティの決定についてはスペイン紙エクスパンシオンが先に報じていた。

  マラガ拠点の開設は、新型コロナウイルス禍の時期の過労問題を受けた働き方改革の象徴的な施策だった。地中海沿岸という魅力的な立地を活用したこの施策は、ウォール街が働きやすさを売りに人材確保を目指した、目を引く試みの一つだった。

原題:Citi Shutters Spain Outpost Meant to Lure Beach-Seeking Analysts(抜粋)

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