トランプ米政権が対外援助の凍結を発表し、国別で世界最大規模の年間400億ドル(約6兆円)前後の援助を担ってきた米政府機関「国際開発局(USAID)」が解体の危機にある。

 豪シンクタンク「ローウィー研究所」公式サイトの論考(3月18日)で、ライリー・デューク研究員は「米国の援助削減は中国へのソフトパワー面での降伏に等しい」と主張する。

 その試算によると、米国の援助凍結で、中国から受け取る開発資金が米国のそれを上回る国が44カ国から84カ国に急増し、逆に米国が中国を上回る国は98カ国から52カ国に縮小。中国が米国に代わり「世界最大の開発資金提供国」になるという。

「USAIDの解体は、世界的な援助を中断させただけではなく、米国の外交政策の支柱を弱体化させた。黙っていても中国の影響力がその空白を埋めることになるだろう」とデューク氏は警鐘を鳴らした。

 中国研究者のユン・スン氏も米シンクタンク「ブルッキングス研究所」公式サイトに掲載した論考(3月11日)で「米国を『無責任な大国』として描こうとする中国のメッセージが特にグローバルサウスの国々に大きく響くだろう」と指摘した。

 同時に、スン氏は「中国…



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