トランプ米大統領の関税政策は、われわれの世代で最大の経済的出来事となる可能性があると、米投資運用会社オークツリー・キャピタル・マネジメントの共同創業者ハワード・マークス氏が述べた。トランプ氏が関税政策を撤回しても影響は残るだろうと警告した。

  「私は、関税を巡るこれまでの展開をサッカーファンが言うところのオウンゴールだと考えている」と同氏は9日のリポートに記した。

  「英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)と非常に類似しており、結果がどうなったかは周知の通りだ。ブレグジットは英国の国内総生産(GDP)、国民の士気、同盟関係に大きな打撃を与え、統治と安定性についての英国の評判を傷付けた。こうした損害は全て自業自得だった」と語った。

Oaktree Co-Chair Howard Marks Interview

ハワード・マークス氏

Photographer: Jeenah Moon/Bloomberg

  トランプ氏は対中国以外の関税の大半を90日間停止した。関税のリスクは金融市場の混乱を引き起こしていた。

  広範な関税が実際に導入された場合、米経済は関税がない場合よりも早くリセッション(景気後退)に陥る可能性が高いと同時に、インフレ高進と「広範囲にわたる混乱」に見舞われるだろうと、マークス氏(78)は論じた。

  関税の負の影響はほぼ即座に現れるが、恩恵が得られるのはずっと先になるからだと説明した。

  「関税が完全に撤廃されたとしても、他の国が今回の顛末(てんまつ)を忘れ、米国との関係について心配する必要はないと結論付けることはまずないだろう」とリポートに記した。

  また、関税プログラムの導入は経済に「まったく予測不可能な」影響をもたらすだろうとも予想。

  「先週の出来事は、2008年の出来事とそれが引き起こした世界金融危機を思い出させる。あらゆる規範が覆された」と指摘。「未来は、過去80年間の世界貿易の在り方とほとんど無関係なものになるかもしれない」とコメントした。

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原題:Oaktree’s Howard Marks Says Trump’s Tariffs Remind Him of Brexit(抜粋)

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