この非常に便利な横移動機能は、Z9 GTのビークルモーションコントロール・アーキテクチャによって制御されており、ブレーキ、サスペンション、ステアリングを統合的に管理する。高速走行中のタイヤバースト時でも、影響を受けていないタイヤのトルクを調整し、時速110マイル以上でのパワー再配分を可能にする。
e³により、Z9 GTはセル・トゥ・ボディ(CTB)構造を採用し、「SEAL」のようにブレードバッテリーを車体構造に統合している。これにより、シャシー剛性が向上するだけでなく、完全なフラットフロアを実現し、キャビン内の垂直空間を15mm拡大できている。
DENZAは最新の自動車技術を提供することで、欧州市場での迅速な足がかりを得ることを期待している。
Photograph: Denza価格設定が大きな鍵に
インテリアに関しては、高級感のあるレザーシートとダッシュボード全体に木製のアクセントが施され、128色の照明でキャビンの雰囲気を好みに設定できる。フロントシートには、12ウェイ電動調整機能、10ポイントマッサージ機能、ヒーターが装備され、世界初とされるアクティブサイドボルスターも搭載。これは、エアサスペンションとエアタンクを共有し、コーナリング時に追加のサポートを提供する。
17.3インチの大型センターインフォテインメントシステムが前面に配置され、助手席乗員が車内エンターテインメントと連携できるデュアル13.2インチの超ワイドスクリーンも備えている。さらに、マイナス6℃まで冷却可能な冷蔵コンパートメント、2.1平方メートルのパノラミックガラスルーフ、高級オーディオブランドDevialet(デビアレ)製の20スピーカーサウンドシステムも備える。
Z9 GTは、発売時にパワートレインの選択肢が用意される。まず2024年11月にピュアEVモデルが投入され、その後2026年2月には、2.0リッター・ターボガソリンエンジンを組み合わせたスーパーDM(デュアルモード)ハイブリッドモデルが登場する予定だ。
DENZAによると、ピュアEVモデルは0-60マイル(約96km/h)加速をわずか3.4秒で達成。一方、ハイブリッドモデルでも3.6秒と、ほぼ同等のパフォーマンスを発揮するとされている。
もちろん、DENZAが欧州市場でどこまで存在感を示せるかは、価格設定が大きな鍵を握ることになるだろう。現時点では、BYDもDENZAも価格については公表を控えているが、Z9 GTの発売が近づくにつれ、詳細が明らかにされるとみられる。
そして、米国市場での展開はどうか。結論はシンプルかつ明快だ。DENZAの副社長であるリーは、「米国で消費者向けの車両を発売する計画はありません」とコメントしている。
(Originally published on wired.com, translated by Mamiko Nakano)
※『WIRED』による電気自動車(EV )の関連記事はこちら。
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