アメリカと中国の“関税戦争”激化 中国商務相がEUやマレーシアの通商担当相と相次ぎ会談 各国と連携しアメリカに対抗の狙いも

アメリカと中国の“関税戦争”激化 中国商務相がEUやマレーシアの通商担当相と相次ぎ会談 各国と連携しアメリカに対抗の狙いも

(TBS NEWS DIG)

アメリカと中国の関税のかけ合いが激化するなか、中国の商務相がEU=ヨーロッパ連合やマレーシアの通商担当相と相次いでオンライン会談を行い、多国間の貿易体制を維持する方針で一致しました。各国と連携して、アメリカに対抗したい狙いがあります。

中国の商務省によりますと、王文濤商務相は8日、EUで通商・安全保障を担当するシェフチョビッチ欧州委員と8日にオンライン会談を行いました。

会談で、王商務相はトランプ政権の関税措置について「WTOのルールに違反し、多国間の貿易体制を損なうものであり、典型的な単独主義、保護主義、経済的ないじめである」と強く批判しました。

また、中国がアメリカに対抗措置をとっていることを説明したうえで、「アメリカが自らの主張を貫くのであれば、中国は最後まで戦う」と一歩も引かない姿勢を強調したということです。

一方、中国とEUについては「共同でルールに基づく多国間の貿易体制を守ることで、世界経済に安定がもたらされる」と述べ、協力して経済秩序を守っていくべきだとする考えを示しました。

これに対し、シェフチョビッチ欧州委員は「アメリカの関税措置は国際貿易に深刻な影響を与えている」という認識を示したうえで、「EUは中国やほかのWTO加盟国と協力し、正常な国際貿易を守っていきたい」と応じたということです。

さらに、双方は、EV=電気自動車の価格をめぐる交渉を開始することで合意したということです。

EU委員会は去年10月、中国から輸入されるEVに対する関税を10%から最大で35.3%に引き上げることを決定し、中国側は反発していました。

アメリカが保護主義的な傾向を強めるなか、中国としてはEUとの連携を深めることでアメリカに対抗する狙いがあります。

王商務相は9日にはマレーシアのザフルル国際貿易・産業大臣ともオンライン会談を行い、「中国はASEANを含む貿易パートナーと協力し、相互尊重の原則に基づいた平等な対話と協議を通じて懸念事項を解決し、多国間の貿易体制を共に守っていきたい」と、対話を通じた問題解決の重要性を強調しました。

ザフルル氏は「マレーシアは中国の立場を十分に尊重しており、多国間主義と世界貿易の発展を共に支持していきたい」と応じたということです。

マレーシアは今年、ASEANの議長国を務めており、中国としては東南アジア各国との連携を深めたい狙いがあります。

こうしたなか、中国国営の新華社通信は、習近平国家主席が「周辺国との外交を新たな局面に押し上げなければならない」と演説したと報じました。

8日、9日の二日間にわたって開かれた会議で、習主席は、周辺国との発展と融合を深め交流を拡大し、人の往来を促す必要性を確認したということです。

アメリカの相互関税措置により世界に動揺が広がるなか、中国としては周辺国やヨーロッパとの連携を深める動きを活発化させることで、アメリカに対抗する枠組みを作っていきたい狙いがあります。

WACOCA: People, Life, Style.

Exit mobile version