コラム:半世紀超にわたる米ドル王座、関税戦争超えて継続へ

 トランプ米大統領が米国の敵と味方の双方に対して関税戦争を仕掛ける中、世界の基軸通貨として「王座」にある米ドルの将来に再び懸念が浮上している。写真は米ドル紙幣。2023年3月、ボスニア・ヘルツェゴビナのゼニカ市で撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)

[ブラジリア 13日 ロイター] – ブラジル、ロシア、インド、中国が加盟するBRICSは今年、BRICS共通通貨構想に前向きなブラジルが議長国を務めるが、創設に向けた動きが年内に進むことはない見通しだ。ブラジルの政府高官4人が明らかにした。

 共通通貨構想は最近のBRICS首脳会議でブラジルのルラ大統領などが打ち出した。しかしトランプ米大統領は強く反発。1月に自身の交流サイト(SNS)にBRICS加盟国が共通通貨を創設し、国際的な貿易で米ドルに代わる決済通貨として使用するならば関税を課すと書き込み、2月13日にもBRICS加盟国が米ドルに挑むなら100%の関税を課すと改めて警告した。

ブラジルの政府高官が匿名を条件に語ったところによると、BRISC共通通貨構想は具体的な検討が全く行われていない。また高官のうち3人によると、ブラジルは共通通貨ではなく、BRICS内における国際的な決済を現地通貨で円滑に行うための改革を推進しており、こうした取り組みの結果として米ドル依存が低減される可能性はあるが、それ自体が主な目的ではないという。関係者の1人は「これは誰かを標的にしたものではなく、貿易の円滑化が狙いだ」と話した。

この計画には、暗号資産(仮想通貨)の基幹であるブロックチェーン技術の活用や決済システムの連携による取引コスト削減などが含まれ、国際決済銀行(BIS)といった多国間機関が定める基準に従う予定だという。ルラ大統領自身も共通通貨構想から距離を取っている。

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Reports on the macro beat, covering economic policy in Brasilia. Bernardo studied journalism at the Pontifical Catholic University of Minas Gerais before completing a specialization in Economics at Fundação Getulio Vargas (FGV) and an MBA in Economic-Financial Information and Capital Markets at Fundação Instituto de Administração (FIA) in Sao Paulo. He previously worked in Brasilia for Folha de S.Paulo, Agencia Estado and the Globo’s G1 website.

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