ドイツ東部マグデブルクで20日夜、クリスマスマーケットに車が突っ込み、5人が死亡した事件を受け、国内では動揺が広がっている。来年2月の連邦議会選挙を前に、公共の安全を巡る論争が展開される可能性が高い。

  今回の事件は、2016年にベルリンでトラックが群衆に突っ込み、13人が死亡した攻撃を想起させるものだ。クリスマスマーケットはクリスマスのシーズンにドイツ国内の数千カ所で開かれるが、こうしたマーケットへの車両侵入を阻止するための車止めポールやバリケード増設など、セキュリティー対策が強化された。

  ザクセン・アンハルト州首相によると、死者は5人に増え、負傷者は200人以上に上った。ショルツ独首相は21日に州都を訪問した際、40人余りが重傷だと指摘した。

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  またショルツ首相は「捜査を行い、最大限の正確性と精度をもって捜査することが重要だ」とした上で、「何一つ、放置してはならない」と強調した。

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クリスマスマーケット近くの立ち入り禁止区域で活動する救急隊員(12月20日)

Source: AP

  ザクセン・アンハルト州首相によれば、サウジアラビア出身でこの地域で働く医師である容疑者は、レンタカーで群衆に突っ込み拘束された。事件を起こした動機を捜査している当局は、単独での犯行とみている。

  独誌シュピーゲルによれば、容疑者は過去のソーシャルメディアへの投稿などから、イスラム教に批判的で極右の思想を持つとみられる。極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」に公然と同調し、移民に対する政府の寛容な姿勢を批判していたという。また、ウェブサイトを立ち上げ、サウジアラビアから脱出する方法について特に女性に助言していたと同誌は報じた。

  ドイツ当局は昨年、容疑者についてリスク評価を実施し、具体的な危険性はないと判断していたと、独紙ウェルトが公安当局者の話として伝えた。

原題:Germany Reels After Attack at Christmas Market Kills Five (2)(抜粋)

(事件の詳細や背景を追加して更新します)

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