米国株式市場は急落。トランプ米大統領が2日発表した広範な関税措置を受け、全面的な貿易戦争や世界的な景気後退を巡る懸念が強まった。(2025年 ロイター/Mike Segar)
[3日 ロイター] – 米国株式市場は急落。トランプ米大統領が2日発表した広範な関税措置を受け、全面的な貿易戦争や世界的な景気後退を巡る懸念が強まった。
ダウ工業株30種(.DJI), opens new tabは1679ドル安。ナスダック総合(.IXIC), opens new tabは約6%安、S&P総合500種(.SPX), opens new tabは約5%安となった。
S&P500は2020年6月以来の大幅な下落率となり、構成銘柄の時価総額2兆4000億ドルが吹き飛んだ。
ダウの下落率も20年6月以来最大。ナスダックは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で世界的に市場が混乱した20年3月以来の大幅な下げとなった。
トランプ氏は2日、全ての輸入品に一律10%の基本関税を課した上で、貿易相手国の関税や非関税障壁を考慮し、国・地域別に税率を上乗せする相互関税を発表した。 もっと見る
市場では他国の反応を巡る懸念から景気悪化見通しを反映し、ポジションを解消する動きが広がった。
投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(恐怖指数、VIX)(.VIX), opens new tabは昨年8月以降初めて30ポイントを上回って終了。今後数日、値動きの荒い展開が予想される。
ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループの中小型株ストラテジスト、スティーブン・デサンクティス氏は「依然として、答えよりも疑問の方が多い」と語った。
この日は、ここ数年にわたって主要指数を最高値に押し上げてきた大型ハイテク株が大きく下げた。
アップル(AAPL.O), opens new tabは9.2%下落し、過去5年間で最悪のパフォーマンスとなった。エヌビディア(NVDA.O), opens new tabは7.8%安、アマゾン・ドット・コム(AMZN.O), opens new tabは9%安。
市場では米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が高まっている。
オールスプリング・グローバル・インベストメンツの債券チームのチーフ投資ストラテジスト、ジョージ・ボリー氏は「市場が織り込む利下げ回数が増えており、おそらく時期も早まっている」と指摘。6月の利下げはほぼ確実視され、5月に実施される可能性もあると述べた。
米経済の健全性と金利見通しを探る上で、4日発表の雇用統計と同日に予定されるパウエルFRB議長の講演が注目される。
この日は小売株の下げもきつかった。スポーツ用品大手ナイキ(NKE.N), opens new tabは14.4%、ファッションブランドのラルフ・ローレン(RL.N), opens new tabは16.3%それぞれ下落。ベトナム、インドネシア、中国など主要生産拠点に対する新たな関税が嫌気された。景気動向に敏感な銀行大手も軒並み下落。シティグループ(C.N), opens new tab、バンク・オブ・アメリカ(BofA)(BAC.N), opens new tab、JPモルガン・チェース(JPM.N), opens new tabは7─12.1%安。小型株で構成するラッセル2000指数(.RUT), opens new tabは6.6%下落し、パンデミック発生以来最悪のパフォーマンスを記録。国内経済の健全性に対する懸念を浮き彫りにした。S&P主要11セクターでは原油価格の下落を受けてエネルギー(.SPNY), opens new tabが7.5%安と下げを主導した。ディフェンシブセクターとされる主要消費財(.SPLRCS), opens new tabは0.7%上昇し、唯一プラスだった。
米取引所の合算出来高は209億株。直近20営業日の平均は161億3000万株。
LSEGデータに基づく暫定値です。前日比が一致しない場合があります
※米国株式市場
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