【バレー新時代〈25〉】アルテミス北海道「0勝28敗」の濃密なシーズン
バレーボールVリーグ女子のアルテミス北海道は、0勝28敗で今季全日程を終了しました。昨オフ、フロント運営とチーム方針の違いから、所属していた全ての選手が退団。大学生や高卒新人が集まった平均年齢23歳に満たない新チームは、抗いきれない実力差の中で何を思い、どうバレーボールと向き合ってきたのでしょうか。彼女たちがシーズン最後まで貫き通したものとは。
バレーボール2025.04.02 11:00
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世界最高峰を目指す新国内トップリーグ「大同生命SVリーグ」で戦う、個性的な選手たちの素顔に迫る連載です。
高い打点でアタックする山田菜那光=2025年3月23日
わずか7人の船出「試合できるのか」
24年4月。新たなチームの船出は、高卒新人を含むわずか7人の選手たちだった。スタッフがサポートに入っても、練習メニューは限られた。副主将を務める山田菜那光(23)は「人が集まるか、試合ができるかもわからなかった」と回顧する。
手探りでのスタートから3カ月。開幕まで残り3カ月を切ったタイミングで、初めてVリーグ経験者・工藤綾乃(27)が加入することになる。
得点が決まって喜ぶ工藤綾乃(左)=2025年3月23日
前シーズンまでV2東京Sでプレーしていた工藤は、出来上がったばかりのチームを「強くしたい」と、北海道にやってきた。だが合流後、それは容易なことではないと知る。現役の大学生や、少し前まで高校生だった選手たち。それぞれ昼間は仕事も抱え、チームとして集まることができる週3度ほどの練習も、コートにネットを張り終わっても一向に始まらないウオーミングアップ。聞こえてくる会話はバレーとはかけ離れた雑談ばかり。「コミュニケーションを取る時間が限られてる中で、なんでバレーの話が出てこないんだろう」。技術以前に、意識がVリーグのレベルにないと感じた。「姿で見せるしかない。私ももっと成長しないとって思った。そのために来たので」。
いつも、チームで一番声を出すのは工藤。それぞれに直接言葉をかけることも心がけ、自身の経験を還元しようと働きかけた。だが、青島賢司コーチ(37)は「(選手間で)温度差はあった」。工藤自身も当時を「浮いていたと思う」と振り返る。
一方で、吉田篤弘監督(66)から主将に指名された岩見花(23)も、ジレンマを抱えていた。
必死のレシーブでボールをつなぐ岩見花=2025年3月23日
札幌大時代に主将の経験があるとはいえ、Vリーグは自身も未知の世界。厳しさを持って接する工藤と、若手選手たちとのはざまで、理想のキャプテン像を見失っていった。
「どうしていいかわからなくなった」。開幕を約2週間後に控えた10月初旬、不安は抱えきれなくなった。
「私、やっぱりキャプテンできません」。
開幕を目前に、監督へ主将交代を直訴した。
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