子どもへの英語教育熱の高まりとともにインターナショナルスクールや海外留学に注目が集まるようになりました。その選択肢のひとつとして人気が高まっているのが、イギリスのボーディングスクールです。

イギリスで学ぶ小中高の留学生、約700名のサポートを行う英系企業、ピッパズ・ガーディアンズのカントリー・マネージャーを務める黒田よりこさんに、ボーディングスクールの最新事情などを教えていただく短期連載。

今回は、実は質素だというボーディングスクールのリアルな生活について教えていただきます。


世界中から集まる子どもたちが規則正しく暮らす

イギリスのボーディングスクールというと、王族やセレブの師弟が学ぶ、キラキラとした学校のように感じる方もいるかもしれません。しかし実際の生活は規則正しく、とても質素。ラグジュアリーという言葉からほど遠いのが現実です。

中東から来た富豪の子も地元出身の子も、全員が指定の制服やスポーツウェアを着て、最低限の持ち物に囲まれて衣食住を共にする、そこに良さがあると考える親も多いようです。

今回は、なかなか知ることのできない、ボーディングスクールの内部とリアルな生活を、1日のスケジュールに沿って深掘りします。イギリスのボーディングスクールは、学校と寮によって規則もスタイルも全く異なるのが特徴です。こちらのスケジュールは、シニアスクール(日本の中高一貫校)の一般的なひとつの例として挙げさせていただきます。


朝ごはんを食べたら同じ敷地内の学校へ移動

7:30:起床・朝食

起床後、制服または学校指定のスポーツウェアに着替えます。イギリスの私立校では制服を乱れなく着るように指導を受ける点は、日本と同じです。男子であればネクタイを締める、女子であれば短すぎるスカートは避けるなど。日本とイギリス、規律が重視される点が似ていると感じます。

身支度を終えたら朝食です。かつては寮の中に食堂があり、寮生はその食堂で朝食をとり、学校に向かうことが多かったようです。しかし今ではキャンパスの中心にある大きな食堂で、全寮生が集って朝食をとるスタイルの学校が主流。メニューはシリアルやパンなどのイギリス式となります。

8:45ホームルーム・午前の授業

食堂からクラスに移動して、ホームルームのようなブリーフィングを受けます。その後、生徒は自分の時間割に従って、教室を移動し、授業を受けます。多くの学校では、数学や英語などは能力別のクラスに細かく分けられており、自分のレベルにあった授業を受けることができます。全英の私立校では平均で1クラスにつき、先生は1人、生徒は9人の割合になっており、多いところでも1クラス、8~15人で構成されています。

12:30 ランチタイム

全員が食堂に集いランチタイムです。食堂のサイズに限りがある学校では、学年ごとに時間差でランチタイムをとるようなっています。最近では留学生も多いので、ランチタイムのメニューはバラエティが豊か。私はさまざまな学校でランチをご馳走になる機会があるのですが、アジア風の焼きそば、ハンバーガー、ベジタリアンメニューの1つとして日本のお好み焼きを頂いたこともあります。

メインメニューとは別に、サラダバーやドリンクバーが併設され、どこも栄養バランスが考えられたヘルシーな食事に力を入れていることがわかります。しかし、金曜日はどこの学校もイギリスの宗教的な理由からフィッシュ&チップス一択。ここがイギリスの食文化へのリスペクトなのかもしれません。


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午後はさまざまな課外活動が楽しめる

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