[ニューヨーク 28日 ロイター] – 不安定化している米国株にとって、31日からの週には新たな試練が待ち受ける。トランプ大統領が4月2日、貿易相手国に同水準の関税を課す「相互関税」などの詳細を公表する方針を示していることや、同4日に3月雇用統計の発表が予定されているからだ。

S&P総合500種(.SPX), opens new tabは28日に基調的な物価上昇圧力の高まりを示唆するデータを受け、大きく売り込まれた。2月19日に記録した最高値からの下落率は9.17%を記録。米経済と関税政策を巡る不透明感が投資家を不安に陥れ、こうした関税政策がインフレを再燃させかねないと懸念されている。

ノース・スター・インベストメント・マネジメントのエリック・カビー最高投資責任者は「4月は流動的な要素が多くなり、本当に厳しかった3月に続いて恐らくボラティリティーが大きくなるだろう。市場をさまざまな方向に動かす可能性がある情報が数多くそろっている」と指摘した。

トランプ氏の関税政策がもたらす不透明感は企業や消費者の心理に深刻な影を落としている。

ブランディワイン・グローバルのポートフォリオマネジャー、ジャック・マッキンタイア氏は「誰もが(状況が)明確になるのを望んでいる。実際どのように展開するにせよ、ロードマップが示されればわれわれは順応していく。不安を生んでいるのは不透明感なのだ」と述べた。

ORATSのデータからは、S&P総合500種オプションは3月31日と4月4日の満期到来分を含めた目先の取引のボラティリティーが跳ね上がる事態を想定していることが分かる。

一方LSEGデータストリームによると、S&P総合500種銘柄の予想利益に基づく株価収益率(PER)は足元で21倍弱と、年初時点の約22倍を下回っているが、長期平均の15.8倍に比べると依然としてかなり高い。

クレセット・キャピタルのジャック・アブリン最高投資責任者は「株式市場は高い期待を伴った割高な水準で2025年に突入し、現在は不確実性に見舞われている。これらは両立しない」と語った。

4月4日の3月雇用統計は、ロイター調査によると非農業部門雇用者の前月比増加幅が12万8000人と2月の15万1000人から鈍化する見込み。

市場の注目点の1つは、実業家イーロン・マスク氏が率いる「政府効率化省(DOGE)」による政府職員の削減がどの程度影響しているかになるだろう。

アリアンツ・インベストメント・マネジメントのシニア投資ストラテジスト、チャーリー・リプリー氏は「われわれは全般的にリスクオフの環境に置かれている。今の調整局面に入って以来ずっとこの調子なので、相場が底を打ったかどうかまだ判断できない」と説明した。

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