先日地下鉄に乗った際、独特の臭いが車両内に蔓延(まんえん)していた。職場の最寄り駅周辺でもその臭いは消えない。大麻である。全米23州で娯楽目的での大麻使用が合法化されており、筆者が住むメリーランド州でも21歳以上なら誰でも州の販売許可を得た店から大麻を購入でき、所持と所有が許可されている。米国では年間約10万人が薬物過剰摂取で死亡、中高生の約10%がマリフアナの経験がある。J.D.バンス副大統領の自伝『ヒルビリー・エレジー』では薬物中毒の母との壮絶な少年期が描かれ、トランプ大統領は、毎年数万人を死に至らせる合成麻薬フェンタニルを関税と結び付けて米国への流入を減らそうとしている。

 トランプ大統領を熱狂的に支えるMAGA(偉大な米国の復活)派の理論的支柱である米ヘリテージ財団のケビン・ロバーツ会長の最新著『Dawn’s Early Light(夜明け前の光)』では、こうした米国の惨状はすべてグローバル化による弊害と論じている。現場を知らない経営エリートが費用対効果だけを主眼に米国内拠点閉鎖、従業員解雇、生産を海外に移した結果、米国コミュニティーは崩壊、再雇用されない人々は成すすべもなく薬…



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週刊エコノミスト

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