香港では長年、中国のライバルがウォール街の銀行から顧客を奪ってきた。そしてレイオフの波が訪れた後、中国の金融機関が今度はかつてのスタッフを呼び戻し始めた。
放出された人材があふれる中で、UBSグループやBNPパリバなどグローバルバンク出身の元バンカー約40人が、過去1年の間に中国の証券会社で職を得た。ブルームバーグ・ニュースが証券先物委員会のライセンス記録を分析した結果、明らかになった。
グローバルバンクはここ数年、香港での合併・買収(M&A)や株式公開のペース加速を期待し、ライバルの中国金融機関から200人余りのバンカーを採用してきたが、流れが逆転した。
香港のヘッドハンティング会社ロッド・ヒューズのマネジングパートナー、エリック・チョウ氏は「これは珍しい現象であり、多くの人々にとって、金銭的制約を乗り切るための足掛かり、あるいはキャリア実績を維持するための足掛かりという意味合いがある」と指摘した。
ディールメーキング環境が勢いを欠く状況で、オーバーバンキング(銀行の過剰)状態の香港では、中国の金融機関による採用は、これまでほそぼそとしたものだった。
中国の金融機関に移ることは、しばしば代償も伴う。中国の投資銀行の報酬は、グローバルバンクより30-40%低い傾向にある。非公開情報を理由に関係者が匿名を条件に語ったところでは、UBSのシニアマネジングディレクターの基本給50万ドル(約7500万円)前後に対し、中国国際金融(CICC)は約30万ドルという。
原題:Global Bank Layoffs Drive Talent to Chinese Rivals in Hong Kong(抜粋)
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