3月20日、 トランプ米大統領(写真)が猛スピードで推進する関税政策によって、米国経済は成長鈍化と物価上昇が併存する「スタグフレーション」に向かう気配が漂ってきた。ホワイトハウスで7日撮影(2025年 ロイター/Evelyn Hockstein)
[ワシントン/ロンドン 20日 ロイター] – トランプ米大統領が猛スピードで推進する関税政策によって、米国経済は成長鈍化と物価上昇が併存する「スタグフレーション」に向かう気配が漂ってきた。世界にとって米経済は、圧倒的なけん引役から逆に足を引っ張る存在になろうとしており、米国以外の主要中央銀行はこれが自国・地域にどのような影響を及ぼすのか分析を進めている。
英イングランド銀行は20日の会合で政策金利据え置きを決めるとともに、世界経済の見通しを曇らせる具体的な要素としてトランプ氏の関税政策に言及。日銀も19日までの金融政策決定会合後に、米国の通商政策が新たな関税の発動とともにどのように展開していくかが今後の政策運営を左右する可能性があると示唆した。
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は20日、米国の関税とこれに対する欧州連合(EU)の報復措置は経済成長に打撃を与え、少なくとも短期的に物価上昇率を0.5ポイント押し上げるだろうと警告した。
スイス国立銀行は利下げの決定に際して経済環境においては「国外の情勢が引き続き主要リスク」で、「著しく不透明感が高まっている」と説明した。
スウェーデンのリクスバンクは、国内の経済物価見通しに変化はないが、最近の国際情勢はなお「ドラマチック」だと表現した。
<ハードランディングの恐れも>
4月に米首都ワシントンでトランプ政権発足後初の総会を開く国際通貨基金(IMF)は以前から、貿易戦争が世界経済全体に悪影響を及ぼすとくぎを刺していた。
複数のエコノミストの見立てでは、カナダとメキシコは景気後退に陥る公算が大きい。両国とも米国向け輸出への依存度が極めて高く、特にトランプ氏から関税の標的とされているからだ。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのグローバルエコノミスト、ケン・ワトレット氏は「さまざまな関税とそれに関連した不確実性の拡大は、世界(経済)がハードランディングに見舞われるリスクを高める。通商政策絡みの不確実性の指標はかつてないほどの水準へと高まり続け、各種企業サーベイでは世界の経済成長の勢いが失われていることも示されている」と指摘した。
BNPパリバ・マーケッツ360で中東欧・中東・アフリカ地域責任者を務めるジェフリー・シュルツ氏は「関税が世界経済の成長にとってマイナス要因であるのは間違いない」と話す。米国のスタグフレーション懸念は、連邦準備理事会(FRB)による利下げの遅れにつながりそうで、それが世界的な金融環境を引き締めて重大な不確実性ショックをもたらすことになり、新興国市場にとって好材料になるとは到底思えないという。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab
WACOCA: People, Life, Style.