輪島朝市の食堂店主、キッチンカーで営業再開「おしゃべりだけでもうれしい」 能登半島地震(2025年3月22日)
去年、能登半島地震で壊滅的な被害を受けた観光名所「輪島朝市」で食堂を経営していた男性が、1年2カ月ぶりに営業を再開しました。慣れない販売スタイルに戸惑いながらも、復興の第一歩を歩み出した一日を取材しました。
紙浩之さん(55)。朝市通りで12年間、食堂を切り盛りしてきました。地魚をふんだんに使った料理が人気でしたが、地震直後の火災で店を失いました。
年末に中古のキッチンカーを購入し、移動しながら営業を再開する道を模索していました。営業再開を翌日に控えたこの日。手描きで看板やメニューを書くなど準備に大忙しでした。
紙浩之さん
「この汗見た?この5文字書くだけでこの汗」
「また始まるんかと。町から離れると不便なもんでお年寄りがかわいそう。ちょっとでも食べたい人がおるなら売ってあげたいし、持っていってあげたい」
いよいよ営業再開の初日を迎えました。まずはお刺し身に使う新鮮な魚を仕入れるため、鮮魚店に向かいます。震災前から仕入れていたなじみのお店。おかみさんもエールを送ります。
中小路鮮魚店 中小路幸子さん
「今までは朝市(通り)で店を構えて海鮮丼などを提供していたけど燃えてしまった。自分からお客さんの方に出向いていく形に。いちからスタートするのは大変やと思いますけど、やわやわと頑張ってもらいたい」
高齢者が多い仮設住宅で、新鮮なお刺し身と温かい料理を提供したいと話す紙さん。初日は輪島市中心部から少し離れた仮設住宅を回りました。小さなキッチンカーで作業しながらの販売は思った以上に大変でしたが、手ごたえを十分感じた出だしとなりました。
紙浩之さん
「今度いっぱい持ってきてねと言われるとうれしい。やっぱり不便なのかなと思う。やりがい感じる。しゃべってくれるのがうれしい。地域の人との会話がうれしい。売れる、売れないよりもしゃべってくれるだけでうれしい」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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