冬ドラマにおいて数字・話題性・評判の総合点で“独り勝ち”とも言われる、松坂桃李主演のTBS日曜劇場『御上先生』がいよいよ最終回を迎える。東大卒のエリート文科省官僚の御上孝が官僚派遣制度により、私立高校「隣徳学院」に出向を命じられ、高校3年生の担任として教壇に立つ姿を描く政治×教育の異色作だ。

(C)TBS

「この話題を掘り下げるのか」「攻めている」などの声がSNSには溢れているが、実は企画自体は2020年に立ち上がったものであり、月日を経て、TBSの看板・日曜劇場で放送されることとなった作品だ。

FRaU webでは、詩森さんへのインタビューを全3回にわたりお届けする。第1回前編では作品が生まれた詳しい経緯について伝えたが、後編となる本記事では、詩森さんがキャスティングに関する逸話について明かしてくれた。

松坂桃李の演技に対する信頼

――御上先生の人物像は、どのように作られたのですか。松坂桃李さんのあて書きの部分もあるのでしょうか。

詩森:松坂さんの名前は最初からあがっていましたが、あて書きではないです。飯田さんから名前がでたときに、「松坂さんは『新聞記者』でも官僚をやっていて、しかも私の作品で、それでも受けてくれるなら松坂さんがいい」とお伝えしました。

松坂さんの場合、どう書いても“熱演”みたいにはならないという信頼があって、思う存分書かせていただきました(笑)。最初はもっと暴れる先生を想定していたんですが、取材していく中で、優れた教育者はみんな生徒たちに考えさせるということを知り、当初考えていた教師像からファシリテーターとして優秀な教師像に変えて、そこからは迷わず書けました。

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――「ダークヒーロー」と言いつつ、全然ダークじゃなく、すぐに生徒に信頼されていくのも意外でした。

詩森:それは残念ながら私にはダークヒーローは書けなかったということだと思います。そして、教師を選んでいる時点で、信頼できる人物であるべきだと思ってもいました。クールで一見嫌われそうだけど、生徒だけは裏切らない先生にしないといけない。生徒に対して愛がないといけない。それは、人間と関わる職業だから。

私がドラマを観たときに一番苦手だと感じるのが、職業意識がない人。制作サイドとしてはもっと悪いことをしてほしいのかもとも思いましたが、まずは教師を信用してもらわないとその先が作れないので、そこだけは貫きました。

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